紛失防止トラッカーを手がけるChipoloは、Appleの「探す」ネットワークとGoogleの「Find My Device」に同時対応する新モデル「Chipolo POP」を発表した。従来は片方のネットワークにしか対応できなかったが、今回の製品では双方に接続可能な初の設計となっており、AndroidユーザーとiPhoneユーザーのどちらにも対応可能な柔軟性を提供する。

贈答品としても相手のスマートフォン環境を選ばずに使える点が特徴であり、実用性と汎用性が高まった。Bluetooth通信距離は約90メートルに拡張され、バッテリーは最大1年持続し交換も可能。端末の着信音変更やカメラのリモートシャッターとしての使用にも対応している。Chipoloはこれまでに450万台以上を販売しており、前年比30%の成長を継続中である。

両OSに対応した初の統合型トラッカーとしての意義

Chipoloが発表した「Chipolo POP」は、Appleの「探す」ネットワークとGoogleの「Find My Device」の双方に対応する業界初の市販製品である。これまで、ユーザーはiOSかAndroidかに応じてトラッカーを選ぶ必要があったが、この障壁を取り払うことで、1つの製品が広範なニーズに応えられる市場環境が整った。

特に贈答用としては、相手のデバイス環境を問わないという利点が評価されやすく、販売チャネルの拡大も見込まれる。Bluetoothの通信範囲は約90メートルにまで拡張され、音で端末の位置を知らせるアラートやスマートフォンの呼び出し、セルフィー用リモートシャッターなど多機能性も兼ね備える。

さらに、ユーザー自身で電池交換が可能で、最大1年のバッテリー寿命を誇る点も実用性を押し上げる要素だ。事実として、Chipoloは2021年以降の「Find My」対応デバイスの投入により、年間成長率30%を維持している。

競合のTileが独自ネットワークにこだわる中で、ChipoloはAppleとGoogleという2大エコシステムに接続する道を選んだ。この選択は、ユーザー体験の一貫性と信頼性を重視する戦略とも読める。エコシステム間の垣根を越えるこの一手は、今後のIoTデバイス設計にも影響を与える可能性がある。

トラッカー市場の成熟とChipoloの成長戦略

Chipoloが展開するPOPは、価格が29ドルと手頃であるにもかかわらず、機能性と汎用性を両立させている。これは、TileやSamsungのSmartTag、Pebblebeeなどが築いてきた市場に対して、明確な差別化を図る一手といえる。特に、AppleとGoogleの両ネットワークを利用する設計方針は、プラットフォーム依存を避けた“非排他的戦略”として評価される要素である。

トラッカー市場は、AirTag登場以前はTileが先行していたが、Appleの参入により競争環境が激変し、2021年にはTileがLife360に2億500万ドルで買収された背景がある。この市場環境において、Chipoloが両OS対応に踏み切ったことは、独立系メーカーが生き残るための柔軟な判断とみられる。

事実として、Chipoloはこれまでに450万台以上の販売実績を持ち、プロダクトポートフォリオの拡充と共に堅実な拡大を続けている。今後の焦点は、AppleとGoogleのネットワーク技術が今以上に発展した際に、Chipoloがいかに迅速にアップデートへ追随できるかにある。

また、個人情報保護やデータ取扱の透明性が市場選定の基準となるなかで、どのような信頼構築を進めるかが成長の鍵を握る。製品性能だけでなく、体験価値としてのブランド戦略が問われる段階に入ったといえる。

Source:TechCrunch