Samsungは、約2年ぶりとなるタフネスモデル「Galaxy XCover7 Pro」と「Galaxy Tab Active5 Pro」を正式発表した。スマートフォンのXCover7 Proには新たにSnapdragon 7s Gen 3を採用し、プロセスルールは6nmから4nmへと刷新。タブレットのTab Active5 Proも同チップを搭載し、最大8GB RAMや600ニトの明るさを備えたディスプレイ、ホットスワップ対応バッテリーなど多くの強化が施されている。

両機種ともに5G・Wi-Fi 6E対応、MIL-STD-810HおよびIP68の堅牢設計を維持しながら、Vision Boosterやノーバッテリーモード、AI機能など現場を支える新技術も搭載。さらに、デスクトップ化を可能にするSamsung DeXやプログラマブルキーにも対応し、業務用端末としての完成度を高めている。

Snapdragon 7s Gen 3とVision Boosterがもたらす実用的進化

Galaxy XCover7 ProとTab Active5 Proの最大の進化点は、Snapdragon 7s Gen 3の搭載とVision Booster機能の追加にある。XCover6 Proに搭載されていたSnapdragon 778Gに比べ、新チップは4nmプロセスへと移行し、省電力性能と熱制御に優れる設計となっている。特に長時間稼働が前提となる建設現場や倉庫などの過酷な環境では、この熱処理の安定性が高く評価される要素となる。また、Vision Boosterにより屋外での視認性が強化され、直射日光下でもディスプレイの視認性が損なわれにくくなった。

さらに、XCover7 Proは6.6インチのFHD+ TFT LCDを搭載し、120Hzのリフレッシュレートに対応。手袋着用時の操作にも対応しており、過酷な作業環境でも使い勝手を損なわない設計となっている。Tab Active5 Proにおいても、従来比で画面輝度が480ニトから600ニトに引き上げられ、車内や屋外での利用が一層現実的になった。

スマートフォンもタブレットも、スペック表では大きな飛躍とは見えないかもしれないが、現場での使いやすさという観点では確実に進化している。数字よりも“仕事のしやすさ”を重視する層にとって、今回のアップグレードは意味ある刷新といえる。

プログラマブルキーとDeX対応が示す業務端末としての完成度

今回のXCover7 ProおよびTab Active5 Proには、Samsung DeXへの対応とプログラマブルキーの搭載という2つのポイントが備わっている。DeX対応により、モバイル端末をドックに接続するだけでデスクトップ環境に変換できるため、現場とオフィスをシームレスにつなぐワークフローが可能となる。特に報告書作成やデータ入力のような業務において、これまでのスマートフォン単体では実現できなかった操作性が得られる。

一方でプログラマブルキーは、物流業や警備業、製造現場などで需要が高いカスタマイズ要素である。ボタンに任意の操作を割り当てることで、例えばバーコードスキャンや緊急連絡のトリガーとして活用でき、時間短縮と操作性の向上が図れる。これらの機能は、日常利用では気づきにくいが、現場の業務効率に直結する利便性を持っている。

このような実用機能を地道に積み上げた設計思想は、最新スペックで注目を集める一般的なフラッグシップモデルとは異なる価値を提供している。Samsungが「現場に求められる端末とは何か」を突き詰めてきたことが、今回の機種からは明確に読み取れる。

Source:Neowin