GoogleとSamsungが共同開発中の新型XRスマートグラスが、早ければ2026年にも登場する見込みとなった。TED2025でプロトタイプが披露され、翻訳、物体認識、記憶ベースの検索機能などを内蔵し、視界を通じて情報を引き出せるインターフェースが特徴だ。特に「Memory」機能は、過去に見たモノを記憶から検索するアシスト機能であり、日常の中で忘れがちな情報の発見を手助けする。
このスマートグラスはMetaのRay-Banモデルに似た機能を持ちながらも、視覚情報を直接表示できるディスプレイを搭載する点で差別化されている。韓国経済新聞によれば製造はSamsungが担当し、Android XRという共通プラットフォーム上で動作する。AIアシスタントとの連携や視覚体験の進化に期待が高まる中、今後の展開は日常のテクノロジーの在り方を大きく変える可能性がある。
Android XRグラスが示す次世代スマートグラスの標準像

GoogleとSamsungが共同開発中のXRグラスは、MetaのRay-Banスタイルの製品とは一線を画す体験を提供する構想となっている。TED2025で披露されたプロトタイプには、内蔵カメラを使った翻訳や物体認識、「Memory」と呼ばれる視覚的な検索機能などが搭載されており、視界に映った情報をその場で処理・出力できる点が最大の特徴だ。さらに、視覚情報を表示する内蔵ディスプレイを備えていることから、音声だけに依存しないUXの可能性も示唆された。
Android XRという共通プラットフォームを軸に、今後はヘッドセットやスマートグラスなど複数のデバイスに横断的な機能を展開していく可能性が高い。GoogleアシスタントやGeminiといった独自AIとの連携により、操作性や情報アクセスのスピードはさらに向上すると考えられる。AR機能に特化していた従来のスマートグラスから一歩進み、日常の生活に自然に溶け込む「視覚情報の延長装置」としての新たなポジションを狙っている印象を受ける。
Samsung製プロトタイプの登場が意味する製造戦略の変化
韓国経済新聞が報じた内容によれば、今回のプロトタイプはSamsungが製造を担当しており、これまで以上に両社のパートナーシップが密接になっている様子がうかがえる。2023年に初公開された「Project Moohan」以降、Samsungは独自のXRヘッドセットを複数回披露してきたが、今回のようにGoogleのデモンストレーションに直結する形でグラスが登場したのは初めてである。2026年の発売時期が示されたことで、製品化へ向けた工程がかなり進んでいる可能性も考えられる。
これまでPixelシリーズの製造は基本的にGoogleが主導してきたが、XR分野ではSamsungの技術力と量産体制を活用する形が採用されたことになる。Galaxyブランドで培われた光学設計やディスプレイ開発のノウハウが、この新たな分野でも生きていると見られる。また、韓国発の報道で製品化の詳細が語られた点からも、Samsung側における製品主導権の一端が伺える。今後の展開では、Google主導のデバイスとの差別化や、ブランドとしての立ち位置がどう整理されるかも注目したい。
「Memory」機能が示すAI×視覚の新しい検索アプローチ
TED2025でシャハラム・イザディ氏が実演した「Memory」機能は、XRグラスの活用範囲を日常生活にまで広げる可能性を秘めている。これはカメラを通じて見たものを記録し、それを後から検索できるというもの。たとえば、数日前にどこに鍵を置いたかをAIが視覚記録をもとに導き出すといった使い方が想定されている。単なる音声アシスタントでは補えなかった行動記憶の補助が、視覚データをベースに行われる点が非常にユニークである。
この機能が今後どこまで精度と実用性を高められるかによって、XRグラスが「持ち歩く記憶装置」としての役割を担えるかが問われることになる。特に、Googleが強みとする画像解析とAI検索技術が組み合わされれば、検索という行為そのものが従来のキーワード入力から視覚的な行動トラッキングへと移行する可能性がある。生活の中で見た情報を後から再構成し、必要な瞬間に取り出すという体験は、デジタルライフ全体を再定義する転機となるかもしれない。
Source:Android Headlines