2025年に入りバンク・オブ・アメリカ(BAC)の株価は急落し、年初来で20%超の下落を記録したが、直近では3%超の急騰を見せており、投資家の注目が再び集まり始めている。モルガン・スタンレーのアナリストは投資判断を中立から買いへと格上げし、割安なバリュエーションと来期のROE11%予測を評価材料に挙げた。

四半期決算では、全部門が揃って増益を記録し、純利益は前年比116.1%増の67億ドルに達した。金融セクター全体の回復に出遅れていたBAC株が、再評価の動きを受けて反転する可能性がある。アナリストの大半は依然として強気の姿勢を維持しており、現在の株価水準は中長期的な視点で見れば魅力的な投資機会と捉えられる局面にある。

BAC株の下落要因と業績の堅調な実態

バンク・オブ・アメリカ(BAC)は2025年に入ってから20%超の下落を記録し、年初来で最も成績の悪いマネーセンター銀行の一角に位置付けられている。その背景には、FRBによる利下げ観測やイールドカーブの変化に対する市場の不安があり、特に純金利マージンの低下リスクが株価に重くのしかかった形だ。一方で、こうした懸念とは裏腹に、同社の実績は総じて堅調である。2024年第4四半期の決算は、売上が前年比15%増の253億ドルとなり、アナリスト予想の251億ドルを上回った。

営業・トレーディング部門では13.9%の増収を達成し、資産運用・投資管理部門も14.8%の伸びを見せた。特に個人銀行部門ではカード利用や純金利収益の増加が寄与し、28億ドルの純利益を計上している。

また、信用損失引当金は15億ドルと前年より増加したが、依然として55億ドルを株主に還元するなど、キャピタルマネジメントの面でも健全性が保たれている。株価の下落は一時的な市場心理による影響が大きく、業績面から見れば企業価値は大きく損なわれていないと評価される余地がある。

アナリスト評価の変化と割安感への注目

モルガン・スタンレーのベッツィー・グレイセック氏は、バンク・オブ・アメリカの株価水準を再評価し、投資判断を「中立」から「買い」へと引き上げた。その際、目標株価は56ドルから47ドルに引き下げられたが、これは短期的なリスクを織り込んだ措置であり、依然として長期的な価値に対する信認は崩れていないと捉えられる。また、同氏は同社の株価が2026年予想収益の約8倍のPERで取引されている点に着目し、予測されるROE11%がその割安性を裏付けていると指摘した。

さらに、Truist Financial Corporationも目標株価を53ドルから50ドルに下方修正しながら「買い」の判断を維持しており、市場全体のセンチメントとしてもBACに対しては強気姿勢が優勢である。23人のアナリストのうち17人が「強く買い」、平均目標株価は50.93ドルと現在の水準から約41%の上昇余地があるとされている。最も強気な予測では58ドルが提示されており、割安に放置されている可能性は否定できない。

短期的な価格変動に動揺するよりも、中長期の視点で企業価値と市場評価の乖離に注目する必要があるだろう。

Source:Barchart.com