Samsungは2025年4月、過酷な作業現場を想定した堅牢デバイス「Galaxy XCover7 Pro」と「Galaxy Tab Active5 Pro」を発表した。両機種はIP68の防水・防塵仕様やMIL-STD-810H準拠の耐衝撃構造を備え、小売、物流、医療分野などのプロフェッショナルユースに対応する。

Snapdragon 7s Gen 3チップと最大8GBメモリを搭載し、AIツールやSamsung DeXを駆使した生産性の最大化を可能とする。特にTab Active5 Proは濡れた環境でも使えるSペンや着脱式バッテリーを備え、屋外現場での長時間稼働を想定した設計が特徴である。

XCover7 Proは強化ガラスと高感度ディスプレイにより、手袋着用時の操作もスムーズに行える仕様となっている。セキュリティ面ではSamsung Knox Vaultを実装し、暗号化と改ざん検出機能で企業の安全基準を満たす。価格はTab Active5 Proが€809から、4月より順次販売開始予定。

過酷な現場を想定した耐久性設計と操作性の両立

Galaxy XCover7 ProおよびTab Active5 Proは、MIL-STD-810H規格に準拠し、落下や高温・低温、激しい振動といった極限状態でも動作するよう設計されている。IP68等級の防水・防塵性能に加え、Corning Gorilla Glass Victus+を採用し、ディスプレイの耐傷性と耐衝撃性が大幅に強化された。

特にTab Active5 Proは、手袋装着時でも正確な入力が可能なタッチ感度と、濡れた環境で使えるSペンを搭載し、現場での迅速な情報処理や署名業務を支援する。こうした仕様は、物流、建設、医療など物理的ストレスの高い業務環境で求められる耐性と実用性を両立する意図が明確である。

操作性においても、キーのカスタマイズ機能によって、バーコードスキャンや無線通信をワンタッチで行えるなど、作業効率を重視した工夫が随所に見られる。ディスプレイのサイズや視認性の確保も重視されており、XCover7 Proは6.6インチ、Tab Active5 Proは10.1インチと、現場での視覚的作業にも対応する設計となっている。

このように、デバイスの構造と操作系の両面から「現場の即応性」に応える工夫が重ねられているが、耐久性と軽量性のバランス、特に長時間携行する場合の負担感については、今後のユーザー評価を見守る必要がある。

パフォーマンスとバッテリー持続性の進化が生産性向上を後押し

両モデルは、4nmプロセスのSnapdragon 7s Gen 3チップセットを搭載しており、前モデルで採用されたSnapdragon 778GやExynos 1380と比較して、より優れた電力効率と処理性能を実現している。XCover7 Proは6GB RAMと128GBストレージを標準装備し、microSDによる2TBまでの拡張にも対応する。

Tab Active5 Proはさらに広いメモリ構成が用意され、8GB RAM/256GBストレージモデルも展開される予定である。注目すべきはバッテリー構成で、Tab Active5 Proが10,100mAhの容量を2つの交換式パックで提供し、前世代の7,600mAhや5,050mAhを大きく上回る点にある。

現場作業における連続稼働を強く意識した設計であり、ホットスワップ対応によって充電インフラが不十分な場所でも途切れのない作業が可能となる。XCover7 Proも4,350mAhの容量を備え、軽量モデルとしては十分な駆動時間を誇る。

さらに、AIによる画像処理支援やSamsung DeXによるデスクトップ体験など、単なる堅牢端末に留まらず業務全般の「効率化デバイス」としての完成度も高い。こうしたスペック強化がもたらすメリットは、単なる性能向上ではなく、現場全体の作業品質を底上げする起点としての意味合いが大きい。

セキュリティ基盤の強化と業務特化機能による企業導入への布石

Galaxy XCover7 ProおよびTab Active5 Proは、Samsung Knox Vaultを通じた高度なセキュリティ保護機能を搭載しており、デバイス上のデータ暗号化や改ざん検出を行うハードウェアベースの安全性が強調されている。

こうした構成は、BYOD(個人端末業務利用)やMDM(モバイルデバイス管理)環境におけるセキュリティ要件を満たすものであり、政府機関や大企業の導入基準にも対応しうる水準である。特にエンタープライズ利用を見据えた専用キーの設定機能や、DeXによる外部モニター出力、Circle to SearchやObject EraserなどのAI支援による業務補助機能は、端末単体での業務完結性を高める要素となる。

これにより、現場とオフィス間の端末分離が不要となり、統一された情報基盤構築の一助となる点も見逃せない。加えて、Tab Active5 ProではSペンや防水設計といったハード面が、XCover7 Proでは高音質ステレオスピーカーが、医療・点検・保守といった分野において特化的な利用価値を発揮する可能性がある。

今後は価格設定や運用支援ソリューションの有無が導入判断を左右するが、Samsungが法人市場へ本格的な再接近を図っている兆しと見ることもできる。

Source:Gizmochina