米Alphabet傘下のGoogleは、世界経済の減速と地政学的リスクに直面し、広告収益への依存という構造的な脆弱性が露呈しつつある。2024年第4四半期決算では、広告収益の増加にもかかわらず株価が7.3%急落し、AI投資の巨額支出が投資家の不安材料となった。

さらに、米国テック企業に対するデジタル課税の拡大や、クラウド市場の競争激化が逆風として作用している。こうした状況下、時価総額2兆ドル超を誇る同社株は年初来で約16%下落しており、今後の投資判断において慎重な分析が求められる。

AI投資の拡大と収益構造の軋みが株価に与える影響

Alphabet傘下のGoogleは、2024年第4四半期に965億ドルの売上と2.15ドルのEPSを記録し、前年同期比でいずれも成長を遂げたが、株価は決算発表翌日に7.3%急落した。特に広告収益は725億ドルと堅調で、Google検索部門の成長も顕著であったにもかかわらず、AIインフラ拡充への巨額投資が警戒感を呼び込んだ。2025年には750億ドル規模の設備投資が予定されており、そのうち最大180億ドルが第1四半期に集中投入される見通しとなっている。

こうした強気の資本支出は、生成AIを中心とする技術競争への布石とされる一方で、短期的な利益率の圧迫要因として市場に受け止められている。特に、ChatGPTに匹敵する低コストな中国製AIの登場が、Googleの先行投資の妥当性に疑問を投げかけている点は無視できない。現段階では、広告収入への依存度が76%に及ぶビジネスモデルにおいて、新規技術への過大投資が株主利益とのバランスを崩す可能性があるとの懸念が根強い。結果として、安定した実績がありながらも株価は2025年初から16.2%下落しており、市場の期待と現実の乖離が広がっている。

地政学的圧力とデジタル課税の拡大が生む収益リスク

Googleが直面するのは単なる市場の変動だけではない。米中間の貿易摩擦や、各国におけるデジタルサービス税の導入拡大といった地政学的要因も、収益構造に中長期的な圧力を加えつつある。現時点で報復関税の多くが一時停止されているとはいえ、企業の広告支出は世界経済の不確実性によって調整されやすく、広告収益への打撃は避けられない構図となっている。加えて、各国が米国テック企業への依存を再考する機運が高まり、地域のクラウドサービス企業の台頭が競争環境に変化をもたらしている。

Googleの国際展開は、今後さらなるコスト上昇を余儀なくされる可能性がある。とりわけ欧州を中心に進むデジタル課税の枠組みが強化されれば、海外事業の収益性は大きく低下しかねない。これにより、クラウドやYouTubeといった収益多様化への取り組みが一層重要になるが、現時点では広告偏重の構造が変わりきれていない点が不安要素として残る。外部環境の変化によって想定外のコスト圧力が発生するリスクが高まっており、Google株の評価には一段と慎重な見極めが求められる情勢である。

Source:Barchart