マイクロソフトが発表したAI搭載の記録機能「Recall」が、改良を経てWindows Insider向けに再び展開され始めた。RecallはアプリやWebページの画面を自動で撮影・分類し、後から検索して再表示できる利便性を持つが、昨年の発表時には重大なプライバシー問題が指摘され開発が中断されていた。
今回の再登場に際しては、Windows Helloによるアクセス制限やスクリーンショットの除外設定機能が追加された一方、銀行情報などの識別精度や除外の手動設定といった課題も残る。
Recallの再設計は、AI利活用の利便性とユーザー保護の両立に向けた模索の一環と見られる。だが、技術に不慣れなユーザーや企業環境における情報流出リスクを鑑みれば、その導入には慎重な判断が求められる。
Recall機能のセキュリティ強化とプライバシー保護

Recallの再登場における最も重要な変更点は、セキュリティとプライバシー保護に関する強化である。これにより、ユーザーのスクリーンショットが勝手にアクセスされることを防ぐために、Windows HelloやPINコードによる認証が必須となる。これにより、万が一PCが他者に利用されていても、スクリーンショットの内容にアクセスすることができなくなった。
Recall機能はもともとプライバシー問題が指摘され、特に金融情報や個人データが保存される可能性があることが懸念されていた。そのため、今回のアップデートでは、ユーザーが特定のアプリケーションやWebページを除外するオプションが提供されるようになり、より詳細なカスタマイズが可能となった。
これにより、情報漏洩のリスクが減少するが、依然として手動で除外リストを更新する必要があり、完全な解決には至っていない。
一方で、RecallがAIを活用して画面上のコンテンツを分析し、スクリーンショットを自動的に分類・保存する機能は、確かに利便性を高めるが、ユーザーにとってはその管理が煩雑になる可能性がある。特に、プライバシー意識が高いユーザーにとっては、完全に安心できるわけではない。Recallの使用には、ある程度の注意と理解が必要であり、特に家庭内で共有するPCではそのリスクが顕著に現れる可能性がある。
Recall機能の利便性とユーザー体験
Recall機能は、ユーザーが過去に閲覧したWebページやアプリのスクリーンショットを自動で撮影・保存し、それを簡単に検索できるという特徴がある。この機能は、特に記憶力に自信がないユーザーにとって便利であり、例えばどのWebページを昨日見ていたかが思い出せない場面で重宝する。
一方で、この機能は使い方に関する理解を深めないと、逆に管理が煩雑になる可能性がある。Recallは保存するスクリーンショットを自動的に分類するが、ユーザーがその分類内容を完全に把握することは難しい場合がある。また、Recall機能が保存する内容については、その内容が特に個人情報に関連する場合、利用者の意識が欠けていると危険に感じることもある。
加えて、Recall機能はWindows 11に組み込まれており、アプリやWebページの内容を自動的にスクリーンショットとして保存する。こうした機能は、新たに導入されたベータ版で段階的に展開され、特にWindows Insiderビルドに関心を持つユーザーにとっては魅力的な選択肢である。
しかし、これを活用するためには十分な知識と、設定を適切に管理する能力が求められる。誤って機密情報を保存してしまうリスクを避けるためには、手動で除外するアプリやWebページを選択する必要がある。
Recall機能のプライバシー問題と改善点
Recallの再登場にあたり、セキュリティとプライバシーに関する懸念が再び浮上している。以前、Recallは予期せぬセキュリティ問題を引き起こしたことから、開発が一時中断された経緯がある。その後の改修では、ユーザーが手動で除外設定を行えるようになったり、AIが銀行口座情報などの機密情報を認識しないように改善されるなど、一定の改善がなされた。
しかし、Recallが保存するデータの管理方法には依然として不安が残る。特に、RecallがアプリケーションやWebページを自動的にスクリーンショットとして保存し、その内容をデバイス内に保存する仕組みが問題視されている。
Recallはシステムのストレージの一部を占有し、保存するスクリーンショットの量が増えれば、ユーザーがその内容を管理しきれなくなる可能性がある。また、Recallによって保存された情報には、機密情報や個人情報が含まれる場合もあるため、これをどのように扱うかについて慎重に検討する必要がある。
さらに、Recallは完全なプライバシー保護を提供しているわけではない。例えば、Recallを利用した場合、保存されたスクリーンショットが他のアプリやシステムによって簡単にアクセスされるリスクがある。特に、家族や同僚が同じPCを使用する場合、その情報が意図せずに共有されてしまう可能性があるため、プライバシーを重視するユーザーには、引き続き警戒が求められる。
Source:Gizmodo