マイクロソフトは、2025年4月配信のWindows 10向け更新プログラムKB5057589に関連し、WinREアップデート時に発生するエラーコード「0x80070643」について、ユーザーに通知を無視するよう公式に促した。対象はバージョン21H2および22H2で、問題は実際には更新に影響を与えず、再起動により正常に適用される場合が多いという。
このバグは、再起動待ちの別のアップデートが存在する際にWinREのインストールを行うことで発生し、見かけ上は失敗したように表示される。マイクロソフトは、今後の修正を予定しているものの、今回の対応方針は異例であり、1月にも類似の「気にしなくてよいエラー」対応を行っていた経緯がある。
マイクロソフトが明言した「無視してよいエラー」の背景とその対象環境

Windows 10バージョン21H2および22H2を対象に配信されたKB5057589アップデートにおいて、WinRE(Windows Recovery Environment)のインストール時にエラーコード「0x80070643」が表示される事象が確認されている。このエラーは、「ERROR_INSTALL_FAILURE」として通知されるが、実際にはアップデートの適用に支障はなく、再起動を経て正常に処理が完了するケースが大半であるとされる。
マイクロソフトはこの問題に関し、更新の失敗を示すエラー表示が不正確であることを明示し、「通知は無視して構わない」と異例の方針を示した。通知は一定期間後に自動的に消去され、OSの動作やセキュリティへの影響もないという説明が加えられている。
こうした対応がとられるのは、今年1月にも同様に「無視可能」とされたエラーが存在しており、今回が2度目となる。ユーザーに不安を与えず運用を継続させることが、対応方針に影響した可能性がある。
なぜマイクロソフトは「無視」を容認したのか 運用と信頼性のはざまで
本件で注目すべきは、世界的IT企業であるマイクロソフトが、システムエラーに対して「無視すること」を明確に推奨した点にある。通常、OSのアップデート失敗を示すエラーコードは重要な警告と捉えられるべきものである。しかし今回は、アップデート処理自体は正常に終了しており、通知内容のみが不正確という例外的な構図が浮き彫りとなった。
この対応は、複数のアップデートが並行する状況における競合やタイミングのズレといった技術的背景に起因すると見られる。とはいえ、ユーザー側からすれば、「エラーの発生」と「無視してよい」という説明との間に大きなギャップが生じ、システムへの信頼感を損ねる可能性は否めない。
マイクロソフトとしては、復旧不要な通知に過度な対応を促さず、サポートリソースの最適化と運用の効率性を優先した意図が読み取れる。技術的合理性とユーザー心理のバランスが問われる対応事例である。
Source:Neowin