Microsoftは、2025年4月に配信されたWindows 10向けの回復環境(WinRE)セキュリティアップデート「KB5057589」において、エラーコード「0x80070643」が再発する可能性があることを公式に認めた。このエラーは2024年1月のアップデート時にも発生しており、今回で少なくとも2度目の報告となる。

当該エラーは、アップデートが実際には正常に適用されているにもかかわらず、OS内部の挙動により誤って表示されるもので、Microsoftは「無視するように」と利用者に案内している。なお同社は、原因が他の更新の保留状態と干渉している点にあるとし、今後も修正に向けた対応を継続するとしている。

繰り返されるWinRE更新失敗と0x80070643エラーの構造的要因

Microsoftは、2025年4月8日に提供開始したWindows 10向けセキュリティ更新プログラム「KB5057589」において、特定の条件下でエラーコード「0x80070643」が発生する可能性があることを正式に認めた。

これは、Windows回復環境(WinRE)を対象とするパッチがトリガーとなって生じるものであり、同様の問題は2024年1月にも報告されていた。エラーはストレージ不足やリカバリーパーティションの構成不備に起因する場合もあるが、実際には十分な空き容量があっても発生するケースが多く見られている。

Microsoftの説明によれば、このエラーはOS内部のバグによって、WinRE更新が保留中の別の更新と衝突する際に誤って表示される。更新自体は成功していることが大半であり、利用者にとっては誤認識を招く結果となっている。

加えて、Microsoftはこの問題について過去15か月以上にわたり明確な恒久対策を講じられておらず、ユーザーの間での不信感が根強い状況にある。更新プログラムが自動配信される仕組みである以上、通知を無視できない利用者にとって、たとえ実害がなくとも「エラーが出る」という事実そのものが信頼性への障壁となっている。

Microsoftの対応姿勢が示すアップデート戦略上の課題

Microsoftは今回のエラー「0x80070643」について、「ユーザー側での対応は不要」とする立場を明確に打ち出した。この対応方針は一見合理的であるように見えるが、その実、エラーの発生を回避できない構造を前提とし、ユーザーに対して問題の可視化を容認させる形となっている。

加えて、エラーが表示されること自体が通常の利用体験を妨げる要因でありながら、それを「気にしないように」と促すアプローチは、プロダクトの完成度に対する姿勢として疑問が残る。

同社が「修正策に取り組んでいる」と言及しているにもかかわらず、長期的に類似の不具合が解消されない背景には、更新アーキテクチャの複雑性と、レガシーコードへの依存があるとみられる。

特にWindows 10の保守フェーズにおいては、重要度の低い不具合に対するリソース配分が抑制される傾向があり、それがユーザー対応の消極性にも表れている可能性がある。今後、同様のケースが繰り返されるようであれば、更新機構そのものの見直しが求められる局面に至るかもしれない。

Source:Windows Latest