Appleは2025年第1四半期に、世界スマートフォン市場で初めてトップの座を獲得した。Counterpoint Researchによれば、同社は市場シェア19%を占め、長らく王者であったSamsungを抜いて1位に躍り出た。躍進の鍵を握ったのは、599ドルという戦略的価格とProモデル譲りの機能を兼ね備えたiPhone 16eである。

同機種は特に新興市場で高い支持を集めており、SEシリーズの実質的な後継として広範な層に受け入れられた。また、昨年導入されたAI基盤「Apple Intelligence」も付加価値として作用し、Appleブランド全体の競争力を底上げしていると考えられる。

一方、Samsungは新型端末の投入遅れなども影響し2位に後退。関税問題など外的リスクが高まる中で、各社の戦略が市場シェアに与える影響は今後さらに注視されるべきである。

iPhone 16eの投入がもたらした市場構造の変化

Appleは2025年第1四半期において、Counterpoint Researchの分析に基づき、世界スマートフォン市場で初の首位に立った。世界シェアは19%に達し、長年トップを維持してきたSamsungを逆転した。中核を担ったのは、新たに投入されたiPhone 16eである。

同機はProモデル同等のソフトウェア機能を備えつつ、599ドルという手頃な価格を実現し、性能と価格のバランスに優れた製品として評価されている。特に価格感度が高い新興市場では、SEシリーズの延長線上にあるこの機種が高い支持を得た。

さらに、Appleが2024年に導入したAI技術「Apple Intelligence」の影響も見逃せない。これは端末の基本的な操作性やパーソナライズ機能を強化し、ユーザー体験の質を向上させた。これらの要素が重なったことで、iPhone 16eは単なる廉価モデルの枠を超え、Appleブランドにおける新たなフラグシップの側面を持つ存在へと進化したと捉えられる。

Appleの首位獲得は偶発的な出来事ではなく、市場と製品戦略が的確に噛み合った結果である。ハイエンド領域だけでなく、価格競争力を伴うラインアップ強化が、かつてない規模での普及を実現させた点に注目すべきである。

競合各社の動向と地域別シェアの分布

Appleに次ぐ2位となったSamsungは、市場シェア18%にとどまり、前年同期の21%から低下した。新型Galaxy S25シリーズの発売が遅延し、1~2月の販売に遅れが出た影響が要因とされている。ただし、3月にかけて販売数を挽回し、年間を通じた成長余地は残されているとみられる。

一方で、中国市場に強いXiaomiは14%のシェアを獲得し、前年の13%から微増した。Xiaomiは価格競争力を武器に、国内外の中価格帯ニーズを的確に捉えており、インドや東南アジアでの拡大が貢献した。続くVivoとOppoもそれぞれ上位にランクインしており、彼らは中国国内需要の回復と、新興国市場の取り込みにより販売数を伸ばしている。

これらのブランドはいずれも価格帯と機能性の最適化に成功しており、大手プレイヤーと比較しても独自の市場ポジションを築きつつある。スマートフォン市場は、従来のハイエンド偏重から、機能性と価格バランスを重視する方向にシフトしており、各ブランドが地域特性に応じた供給戦略を講じている。

Appleの成功は単体の事例にとどまらず、グローバル市場における製品展開のあり方に一石を投じている。

市場全体の成長と外的リスクの影響

2025年第1四半期の世界スマートフォン市場は、前年同期比で3%の成長を記録した。新興市場での需要拡大や、低価格モデルの充実が寄与したとされる。しかし、Counterpoint Researchは年後半にかけて若干の減速を見込んでおり、その背景には各国の貿易政策が影を落としている。

特にアメリカ政府による中国・インド・ベトナムなどからの輸入品への高関税措置が、市場価格の上昇を招き、消費者需要を圧迫する可能性が指摘されている。関税によるコスト転嫁が実現すれば、製品価格の上昇は避けられず、各社は販売戦略の見直しを迫られる。とりわけ、価格競争が熾烈な中価格帯モデルにおいては、価格弾力性の高い市場でシェアの逆転現象が生じる懸念もある。

さらに、供給網の地域分散やコスト再構成も求められ、メーカーにとっては短期的な販売戦略のみならず、中長期的な製造戦略の再設計も視野に入る状況といえる。市場全体の成長は続いているものの、外的要因が市場構造に与える影響は無視できない段階に来ている。各ブランドの競争力は、製品そのものの魅力に加え、地政学リスクへの対応力によっても左右される局面に突入している。

Source:Wccftech