米下院議員マージョリー・テイラー・グリーンが、トランプ前大統領による関税一時停止発表の数時間前に、AppleやNvidiaなど主要テック株を大量購入していたことが財務開示により明らかになった。購入直後に株価は軒並み反発し、特にAppleは新型iPhoneの関税免除を受けて急騰した。
この取引は、トランプ氏の発表に伴う市場急変と連動しており、「下落時の仕込み」と「反発前の先回り」の疑念を呼んでいる。さらに、グリーン議員は直前にも最大28万5000ドル相当の追加投資を行っていたことから、議員による株取引の是非が再燃している。
民主党議員らは即時開示と規制強化を求める書簡を提出し、議会内での金融行動の透明性と倫理的な枠組みの再検討が進められる可能性が高まっている。
テック株集中投資と関税発表の絶妙なタイミング

マージョリー・テイラー・グリーン下院議員は、2025年4月8日および9日にApple、Tesla、Nvidia、Palantir、AMDなど計17社に対し、それぞれ1,001〜15,000ドルの株式投資を実行した。注目すべきは、この取引がトランプ前大統領による関税一時停止の発表直前に行われた点である。特にApple株は、iPhone関税免除が公表されたことを受けて急騰し、5日間で8%以上、さらにその後には20%近い上昇を記録した。PalantirやAMDも堅調に推移しており、結果としてグリーン氏の取引タイミングは極めて巧妙だったとの印象を与えている。
この一連の動きは、トランプ氏の経済政策による市場反応を的確に先取りしたかのようにも見えるが、議員が政策決定に関する非公開情報にアクセスできる立場にあることを考慮すれば、当然ながら懸念が浮上する。これらの株式購入が単なる「投資家としての判断」か、それとも政策動向を踏まえた「戦略的先回り」だったのかは明らかでない。しかし、タイミングの一致が世論やメディアの批判を招いていることは否めない。
株取引を巡る議会内の規範と透明性への問い
今回のグリーン議員の動きは、米議会における株取引の倫理的限界を改めて浮き彫りにした。すでに2025年4月10日には、民主党の下院議員6名がマイク・ジョンソン下院議長宛に書簡を提出し、4月初旬に行われた一連の株取引の即時開示と調査を求めている。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員は、SNS上でこの件に言及し、「議員の金銭的行動から多くのことが学べる」として、議会内での株取引禁止を強く主張した。
政治家が立法プロセスや政策決定に直接関与する立場にある以上、株式市場への影響を正確に予測するための情報にアクセス可能であることは避けられない。今回のように、関税政策という極めて市場感応度の高いテーマに連動した取引が行われたことで、「利益相反」の構造があらためて注目を集めている。すでに何度も浮上している議員による株取引禁止法案が、今後再び議論の俎上に載る可能性は高いとみられる。制度の透明性と市場の公正性をいかに担保するか、その課題は未解決のままである。
Source:Finbold