長年にわたり暗号資産市場で注目されてきたRipple対SECの訴訟が、両者による控訴保留の共同申請により終結へと大きく前進した。RippleのガーリングハウスCEOは全面勝訴を主張したが、その発言後にXRPは時価総額で110億ドルを失い、市場は予想に反して冷静な反応を示した。

一部のアナリストは「XRPの急騰はすでに織り込み済みであり、今後の成長は提携や実用性にかかっている」と警鐘を鳴らす。供給量の減少やチャートパターンには強気の兆しもあるが、相場の流れは依然として外部要因に左右されやすい状況にある。

RippleとSEC、控訴保留で訴訟終結へ前進

Ripple Labsと米証券取引委員会(SEC)の長期にわたる法廷闘争は、2025年4月10日に提出された共同申請によって大きな転機を迎えた。両者はRipple側の初期勝訴に対する控訴を「保留(abeyance)」とすることで合意したとされ、これは訴訟終結の前段階として解釈される。Rippleのブラッド・ガーリングハウスCEOは3月19日の投稿で「全面的な勝利」と評したが、この発言に対してSECは一切の公式コメントを控えている。

XRP市場はこの動きを楽観的には受け止めていない。ガーリングハウス氏の発言から48時間以内に、XRPは時価総額で110億ドルを失い、価格は短期的に下落した。背景にはトランプ元大統領による関税方針への懸念といったマクロ経済の不安も影響した可能性がある。したがって、訴訟の展開が市場に与える影響は一様ではなく、政治経済情勢との連動を無視できない状況にある。

XRP急騰は織り込み済みとの見方、実需の有無に焦点

暗号資産インフルエンサー「All Things XRP」は、SECとの訴訟終了を契機としたXRPの急騰期待について「すでに市場は織り込んでいる」と警鐘を鳴らした。彼は、真に注目すべきは今後の実需や企業提携、送金ネットワークとしての活用拡大であるとし、価格形成の基盤が短期的な材料ではなく中長期の実績にあることを強調した。

実際、XRPは4月14日時点で2.14ドルと、3月中旬に記録された2.55ドルには届いていない。これは、訴訟終結報道による高揚感が長続きしていないことを示している。短期筋の思惑による値動きに終始するようでは、持続的な成長は難しい。今後の焦点は、Rippleの実用的展開や他企業との連携といった具体的な進捗に移行するだろう。市場はすでに単なる「ニュース」に反応する段階を超えている。

強気要素としての供給量低下とテクニカル分析

XRPのテクニカル面では強気要素も浮上している。大手仮想通貨取引所におけるXRPの供給量は、ここ1ヶ月で最低水準まで減少しており、売り圧力の低下を示す兆候とされる。チャートアナリストのアリ・マルティネス氏は、現在のXRPが上昇トライアングルパターンを形成していると指摘し、2.22ドルのレジスタンスを突破した場合、2.40ドルまでの上昇が視野に入ると分析した。

また、仮名研究者「RizeSenpai」はフィボナッチリトレースメントを根拠に、将来的な価格目標として30ドルを示している。これは現水準から大幅な上昇余地を想定したものであるが、あくまで長期的視点に立った場合の理論値であり、市場の実需や規制環境、国際的な受容など多数の要因が絡む複雑な命題でもある。短期の期待に左右されず、堅実な指標に基づく判断が今後はより重要となろう。

Source:Finbold