米上院議員マークウェイン・マリンが、司法省がキャピタル・ワンによるディスカバー社の買収に承認を与えた直後に同社株を購入していたことが判明した。開示資料によると、取引は3月19日に実施され、金額は最大5万ドルに及ぶ。買収承認の公表は4月3日であり、このわずかな時差が取引の公正性に対する疑念を呼んでいる。

マリン氏は過去にも、自治体事業と時期を重ねた株取引や200%以上のリターンを記録した事例があり、その投資活動には以前から不透明さが指摘されてきた。今回の事例は、立法府の一員による取引が市場に与える影響の検証と、情報管理の在り方に再び注目を集めることとなった。

キャピタル・ワン買収承認直後の取引開示が波紋を呼ぶ

2025年3月19日、上院議員マークウェイン・マリンは、米国証券取引所に上場するキャピタル・ワン(NYSE: COF)の株式を1万5,001ドルから5万ドルの範囲で購入したことを財務報告で明らかにした。この取引は、司法省(DOJ)が同社によるディスカバー・ファイナンシャル・サービスの350億ドル規模の買収に対し、独占禁止法上の懸念がないと正式に通告したわずか2週間前に実施されている。DOJの通告は4月3日に連邦準備制度(FRB)および通貨監督庁(OCC)に送付されており、これは市場への買収承認の強いシグナルとなった。

マリン議員の株式取得のタイミングが、重大な公的判断と非常に接近していることから、立法府内における情報管理や倫理規範の在り方に対して強い関心が寄せられている。取引は株価172ドル時点で行われたが、その後一時的な下落を経て、記事執筆時点では164ドルまで回復している。取引の正当性が問われる中、当局による詳細な調査が求められる可能性がある。

過去の取引履歴から見るマリン議員の投資行動

今回のCOF株取引が波紋を呼んでいる背景には、マリン議員が過去に行ってきた一連の投資行動に関する既存の懸念がある。過去には、スプラウツ・ファーマーズ・マーケット(NASDAQ: SFM)への投資により200%以上のリターンを記録した事例や、水道インフラ事業と連動した形でのバジャー・メーター社株購入が問題視されてきた。後者では、同議員が代表を務めるタルサ市が実施していた9400万ドル規模の水道メーター刷新プロジェクトとの利害関係が疑われていた。

このように、マリン議員の過去の投資行動はしばしば政治的関与と関連してきたため、今回の買収承認タイミングでのCOF株購入についても、利益相反やインサイダー取引の可能性に対する疑念が浮上することは避けられない。法的な違法性が明確に証明されたわけではないものの、政治家による市場介入の在り方が再度問われる形となっている。

金融規制と議員取引の透明性に求められる再定義

今回の事例は、議員による金融取引に対する規制と倫理基準の再定義の必要性を改めて浮き彫りにした。連邦議会に属する立場にありながら、企業の将来価値に大きく影響する情報に接する可能性がある議員の株式売買は、市場の公正性を損ねる恐れがある。とりわけ、司法省の決定や金融監督機関との情報連携が、結果的に個別の議員の投資判断と結びついたように見える点は、制度的な限界を露呈している。

今後、金融サービス委員会や倫理委員会がこのような取引に対してどのような反応を示すかが注目される。制度上の違法性が存在しないとしても、選良たる議員による市場関与が市民の信頼を損なうのであれば、それは立法府全体の信用問題へと発展しかねない。規制強化や透明性確保のための法整備が急務であり、今回の事例はその一石となりうる。

Source:Finbold