MicrosoftはWindows 11 バージョン23H2のベータチャンネル向けに、ビルド22635.5235(KB5055615)を公開した。今回のアップデートは小規模ながら、ファイルを開く・保存するダイアログ内のナビゲーションボタンにおけるキーボードフォーカスの視認性が改善され、ボーダー表示がより明瞭になっている。さらに、「アカウント>サインインオプション」で設定アプリがフリーズする問題も修正された。

一方、スタートメニューの「すべて」ページでは、一部のアプリ右クリック時に不自然な点滅が発生する既知の問題も継続しており、今後の対応が注目される。改良点は限定的だが、操作性に直結する地味ながらも重要な更新といえる。

ファイルエクスプローラーの視認性が改善 操作中の混乱軽減へつながる調整

Windows 11 Betaビルド22635.5235では、ファイルエクスプローラーの「開く」「保存」ダイアログにおけるナビゲーションボタンのフォーカス要素が改良された。具体的には、キーボード操作時にボタンのボーダーがより暗く表示されるようになり、現在どの要素にフォーカスがあるのかを視覚的に認識しやすくなっている。この改善はトグルオン状態で段階的に展開されており、ファイルの選択や保存といった基本操作時の視認性に直結する調整といえる。

近年のWindows 11は、UIデザインの洗練を進める一方で、視覚的なアクセシビリティの向上にも力を入れている。とくにキーボード操作を中心とした環境では、こうした小さなUI変更が操作性全体の印象を大きく左右することがある。今回の変更は、視覚的な迷いを減らし、よりスムーズに目的のファイルへアクセスできるよう配慮された措置であると考えられる。

設定アプリのフリーズ問題が解消 サインインオプション周辺の安定性が向上

今回のビルドで修正された重要な問題の一つに、「設定>アカウント>サインインオプション」の一部操作によってアプリがフリーズする不具合がある。これは「離席後にWindowsが再度サインインを要求するまでの時間」の設定を変更しようとした際に発生するもので、一部の環境で操作不能に陥るケースが報告されていた。ビルド22635.5235ではこの挙動が改善され、当該設定の変更が安定して行えるようになった。

この不具合は一見すると限定的なものに思えるが、セキュリティやプライバシーの観点から頻繁に設定される項目であるだけに、操作不能に陥ることは深刻なストレスとなりうる。今回の修正はその点に対処するもので、日常的な使用環境の信頼性を取り戻す意味でも意義がある。こうした安定性の底上げは、新機能の導入よりも重要な側面として評価されるべきであろう。

スタートメニューの表示不具合は継続 修正は次回以降の課題に

現時点で既知の問題として、スタートメニューの「すべて」ページにおける表示の不具合が報告されている。具体的には、アプリを右クリックした際に「スタート設定」メニューが一瞬点滅し、その後にアプリのコンテキストメニューが表示される現象である。Microsoftはこの不具合を把握しており、Insider向けビルド内の既知の問題として明示しているが、今回のビルド22635.5235では修正されていない。

こうした不安定な挙動はUI全体の印象に影響を及ぼす可能性があるため、利用者のストレスを減らす上でも早期の対応が求められる。特にスタートメニューは日常的に頻繁に利用されるインターフェースであり、そこでの不具合は体感的な品質低下につながりやすい。次回以降のビルドでの修正が期待される中、引き続き状況を注視していく必要がある。

Source:Neowin