Palantir Technologies(NASDAQ: PLTR)の株価が4月14日に急騰し、一時10%近い上昇を記録した。背景には、NATOが過去最大規模となるAIシステム「Maven Smart System(MSS NATO)」の調達を完了し、30日以内の配備を決定したことがある。

これは欧州における再軍備の加速と米国の関与後退への懸念を反映した動きであり、Palantirにとって政府関連契約が依然として成長の柱であることを示している。ただし、PLTRは依然として年初来高値から20%以上下落した位置にあり、トランプ前政権の関税政策などの不安定要素が株価の持続的上昇を阻む可能性も否定できない。

NATOとの戦略的契約がPalantir株の急騰を牽引 AI軍事技術の国際展開が本格化

Palantir Technologies(NASDAQ: PLTR)の株価が4月14日に一時10%近く上昇し、95ドル台に達した背景には、NATOによる過去最大規模の調達プロジェクトの完了がある。この契約は、Maven Smart System(MSS NATO)と呼ばれる人工知能ベースの軍事システムをNATO加盟国に配備するものであり、30日以内に実戦環境下での運用が始まる見通しとなった。これにより、戦場での状況認識や指揮命令系統の即時性が大幅に向上し、現代戦争における情報優位性の確保が狙われている。

米国軍では既に2017年から同種のAIシステムが導入されており、その実績がNATOにおける迅速な意思決定に繋がったと見られる。Palantirはこの分野における実績と技術力の高さで知られており、今回の調達は同社の国際的な信頼性を象徴する事例といえる。とりわけ、今回の契約が6か月という短期間で完了した点は、欧州諸国の危機意識の高まりと、米国の関与が不確実化する中での迅速な安全保障対応を示唆している。

一方で、今回の上昇は短期的な期待感に支えられた側面もあり、実際の配備後にどれだけ持続的な収益化に結びつくかは不透明である。防衛関連の大型契約がPalantirの中核収益源であることは確かだが、それが今後も継続的に企業価値の向上に寄与するかは慎重に見極める必要がある。

心理的節目の100ドル目前で反落 上値を抑える懸念材料と市場の継続的評価

PLTR株は96ドルを一時突破し、心理的な節目である100ドルに迫る勢いを見せたものの、その後は上昇幅を縮小し、最終的には95.86ドルで取引を終えた。直近1週間で13.35%の上昇率を記録しているが、2月に記録した過去最高値124.62ドルからは依然として20%以上下落した水準にある。これは、今回の上昇があくまで材料出尽くし後の一時的な反発であり、根本的なトレンド転換には至っていない可能性を示している。

また、Palantirを取り巻く外部環境には不安要素も残る。中でも、トランプ前大統領が再び関税政策を強硬に推進する構えを見せている点は、市場全体への波及リスクを含んでおり、ハイテク・防衛関連株にも影響を与えかねない。仮に関税戦争が再燃すれば、米国企業の国際契約における競争力が削がれる恐れがあり、Palantirのようなグローバル展開企業にとっては逆風となり得る。

市場は短期的な業績期待に反応しているが、中長期的な企業成長の持続性や地政学的リスクの高まりを踏まえれば、現在の株価水準が過熱しているとの見方も一部にはある。NATOとの契約が新たな成長の呼び水となるか、それとも一過性のイベントにとどまるか。今後の株価推移には慎重な観察が求められる局面にある。

Source:Finbold