MicrosoftはWindows 11版Edgeにおいて、垂直タブ機能のデザインを大幅に刷新する「Project Jupiter」をテスト中である。新たに追加された「トランジエントモード」と「スイッチャーモード」は、閲覧スペースの拡張やタブ操作の柔軟性向上を狙ったもので、Edge Canaryユーザーの一部に自動で展開されている。特にトランジエントモードではタブバーが浮遊パネル化し、表示領域を圧迫せずにタブ管理が可能になるなど、従来のブラウザ操作に新しい体験をもたらす試みとなっている。

Chromeがいまだ垂直タブに消極的ななか、Edgeは独自機能の強化で差別化を図ろうとしており、こうした動きは乗り換えを検討する材料になりうる。

「Project Jupiter」がもたらすEdge垂直タブの進化とその特徴

Microsoft EdgeのCanary版において、開発コードネーム「Project Jupiter」として垂直タブの新UIが試験的に導入された。これまでのタブバーを刷新し、「スイッチャーモード」と「トランジエントモード」という2つの表示形態が実装されている。スイッチャーモードは従来よりも広い表示領域をタブバーに割り当てつつ、タブの切り替え操作をウィンドウ外で行えるようにし、レイアウトの自由度を高めている。一方、トランジエントモードでは、タブがフローティングパネルとして一時的に表示され、閲覧中のページに重ならない設計となっているのが特徴である。これにより、タブ操作時でもコンテンツの可視領域を犠牲にせずに済む。

両モードはそれぞれ異なるユーザーの使い方に応じた選択肢を提供しており、flags設定で有効化できる柔軟性も備えている。開発段階にあるため今後変更の可能性はあるが、現時点でもブラウジング体験を根本から見直す試みとして注目される。従来のタブ設計がもたらしていた煩雑さを解消しようとする意図が明確に感じられ、UI刷新による操作性向上がEdgeの魅力強化につながる可能性もあるだろう。

Google Chromeとの差別化を狙うEdgeの設計思想

Microsoft Edgeが進める垂直タブの刷新は、依然としてタブ機能の拡張に踏み込まないGoogle Chromeとの差を際立たせる展開となっている。特にChromeでは、垂直タブが正式にサポートされておらず、利用したい場合は非公式な拡張機能に依存する必要がある。しかし、セキュリティ上の懸念や機能の不安定さを理由に、こうした外部拡張に抵抗を感じる利用者は少なくない。EdgeやFirefoxが標準で垂直タブを提供するなか、Chromeがこれに追随しない状況は、機能面での見劣りを生んでいる。

今回の「Project Jupiter」によって、EdgeはさらなるUIの柔軟性と利便性を追求しており、特にトランジエントモードのような軽快な表示切替は、Chromeユーザーが一度試してみたくなるような操作体験を提供し得る。Google側に明確な対応が見られない現在、Edgeのこの路線が一定の評価を受ける可能性は否定できない。ブラウザに求められるのは処理速度やエンジン性能だけでなく、日常的な使いやすさの積み重ねであるという点を改めて浮き彫りにする動きと言える。

Source:Windows Latest