Appleは、2026年に登場予定の初代折りたたみiPhoneに搭載するOLEDディスプレイの供給先として、Samsung Displayを単独で選定した。LG DisplayやBOEといった他社を排除し、折り目の少ない技術的優位性を持つSamsungを採用した背景には、Appleの品質最優先の姿勢があるとされる。折りたたみ時5.5インチ、展開時7.8インチの構成を取り、価格は2,000ドル前後が見込まれる。
この決定は、従来複数ベンダーを活用することでコスト最適化を図ってきたAppleの調達方針からの転換を意味する。Samsungは早ければ2025年末に生産を開始し、年間1,500万台超の供給も視野に入るとされ、Appleの参入が停滞気味の折りたたみ市場を活性化させる可能性も指摘されている。
Samsungの技術優位がAppleの採用判断を左右した構図

Appleが折りたたみiPhoneのOLEDディスプレイにおいてSamsung Displayを唯一の供給元に選んだ背景には、Samsungが持つ折り目を抑える独自技術が大きく影響している。Galaxy Z Foldシリーズで培われた技術的蓄積は、Appleにとって妥協の余地のない品質基準を満たすに足るものと映った。
これにより、LG DisplayやBOEといった競合は選考から外れた。Samsungは2019年以降、折りたたみOLEDに関して継続的に改良を重ねてきた実績があり、その信頼性と安定供給の見込みが、Appleにとって重要な判断材料となったと見られる。
Appleはこれまで、複数のサプライヤーを組み合わせることでコストと供給安定性の両立を図ってきたが、今回は例外的に品質を最優先した。ある業界関係者は「価格よりも品質を重視するAppleにとって、Samsungは唯一の現実的選択肢だった」と述べている。
品質への執着は、Appleが折りたたみ端末の市場投入を長年見送ってきた理由の一端でもある。目立つ折り目という課題が克服されたと判断した今、満を持しての参入となる。技術優位が企業間のパートナーシップ構築にどのように作用するかを示す好例である。
Appleの単独サプライヤー戦略が示す市場参入の本気度
AppleがSamsung Displayを唯一のOLED供給元とする決断は、これまでのマルチサプライヤー戦略からの明確な転換である。この動きは、コスト最適化よりも製品完成度を優先し、折りたたみ市場に本格参入するという強い意志の表れとも受け取れる。Appleは過去にLG Displayと折りたたみ技術に関する共同開発を進め、2017年には専用タスクフォースも設けていた。
しかし、Samsungが先行して培った技術力の差が、最終的な選定に決定的な影響を及ぼしたとみられる。折りたたみ時5.5インチ、展開時7.8インチという構成の新型iPhoneは、Galaxy Z Foldシリーズとの真っ向勝負を意識した仕様とされる。予想価格は約2,000ドルと高価格帯に位置づけられ、北米を中心とした高所得者層をターゲットに据えていると考えられる。
Appleが単独ベンダーに依存するのは極めて異例であり、それだけに品質と製品体験に対する期待値は高い。今後、このモデルがAppleの中核ラインに成長するか否かは、供給の安定性と市場の受容度にかかっている。単独供給の成否は、Appleの次なる端末戦略を占う試金石となる。
Source:Cult of Mac