Nvidiaはトランプ前政権による対中関税強化の影響で、年初来15%以上の下落を経験し、株価は100ドルを割り込んだ。しかし、2025年2月の第4四半期決算では売上393億ドル、EPSは0.89ドルと、いずれも市場予想を大幅に上回った。AI半導体分野での競争優位とクラウド・自動車企業との連携が好業績を支えている。
こうした状況下で、BernsteinのアナリストStacy Rasgon氏は、Nvidia株を「アウトパフォーム」と評価し、目標株価を185ドルに据え置いた。メキシコ経由の出荷により関税の影響を軽減できる可能性や、AI需要の高まりが中長期の成長を支えるとの見方を示している。
市場全体が不安定な中で、Nvidiaに対するアナリストの評価は概して強気であり、現在の株価水準が将来的な再上昇の出発点となる可能性も否定できない。
第4四半期業績で際立った成長を見せたNvidiaのAI主導戦略

2025年2月に発表されたNvidiaの第4四半期決算は、同社のAI関連事業が収益成長の主軸となっていることを明確に示した。売上高は393億ドルで前年同期比78%増、調整後EPSも71.2%増の0.89ドルとなり、いずれも市場予想を大きく上回った。中でもデータセンター部門の売上が前年比でほぼ倍増し、356億ドルに達した点が特筆に値する。これは、同社が開発したBlackwellアーキテクチャを基盤としたAI半導体の需要が急増したことが主因である。
また、クラウド市場の巨頭であるAmazonやMicrosoftとの連携強化が、AI導入の波を加速させた。加えて、トヨタや現代自動車といったグローバル自動車メーカーにおけるNvidia技術の採用が進み、インテリジェントモビリティ領域でも存在感を強めている。2026年度第1四半期の売上見通しは430億ドルと予想されており、前年比65%の成長を示唆する。
これらのデータは、Nvidiaが単なるGPUメーカーにとどまらず、AIインフラの中核を担う存在へと進化していることを示すものである。一方、関税リスクや地政学的な影響には引き続き警戒が必要であり、高成長の裏に潜む外部要因への脆弱性を過小評価すべきではない。
株価下落局面におけるバーンスタインの評価と市場の受け止め方
2025年に入ってからのNvidia株は、年初来で15%超の下落となり、4月7日には86.62ドルまで下落した。背景には、ドナルド・トランプ前政権による145%に達する対中関税や、世界的な輸入品への10%関税が影響しており、AIブームの象徴とされたNvidiaにも逆風が及んでいる。このような市場環境下で、BernsteinのStacy Rasgon氏は、同社の株価が過小評価されている可能性を指摘し、「アウトパフォーム」の評価を再確認、目標株価を185ドルに設定した。
特に、NvidiaのAIサーバー出荷の大部分がメキシコ経由で行われており、これが関税の直接的な打撃を回避する要因となっているとの分析が市場の注目を集めている。また、AI技術への世界的な需要は衰えておらず、短期的な地政学リスクを乗り越えれば、Nvidiaの成長ポテンシャルは維持されるとの期待が根強い。
実際にウォール街のアナリスト43人のうち37人が「ストロング・バイ」と評価しており、平均目標株価は173.95ドル、最高値は220ドルとされている。この乖離幅は、現在の価格が過剰に下押しされているとの見方を反映している可能性がある。一方で、関税政策が長期化する場合の収益構造への影響については、引き続き慎重な見極めが求められる。
Source: Barchart.com