Nvidiaが4月16日に投入する新型GPU「RTX 5060 Ti」は、レイトレーシングやAI対応機能を搭載しながら299ドルという価格設定で市場投入され、同社がゲーミング領域への戦略的注力を継続していることを示している。ゲーム部門は直近四半期で約25億ドルの収益を上げており、今回の新製品が売上の加速要因となるとの見方が広がっている。

株価は年初来高値から27%下落しているものの、Redburn Atlanticのアナリストが同社を「トップピック」に選定し、目標株価178ドルとする強気の評価を提示。関税不透明感のなかでもテック製品への免除措置やAI半導体需要の強靭性が追い風となり、短期的な反発の契機として4月16日の発表が注目される。

ゲーミング収益強化に向けたRTX 5060 Tiの戦略的投入

Nvidiaが4月16日に発売する新型GPU「RTX 5060 Ti」は、レイトレーシングやAI処理対応といった先進機能を備えながら、299ドルという戦略的価格で市場投入される。同製品は、パフォーマンスとコストパフォーマンスを両立させた設計が特徴であり、消費電力の最適化にも注力されている点が注目される。これは、ゲーミング分野における広範なユーザー層への訴求を強める狙いと位置付けられる。

Nvidiaにとってゲーミング事業は中核のひとつであり、直近の四半期決算では約25億ドルの売上高を記録するなど、依然として堅調な収益源である。そのため、同社がこの分野への継続的な注力を明確にしたことは、今後の売上成長への寄与が期待される材料と見なされている。また、2025会計年度第1四半期のガイダンスで予測された430億ドルの売上見通しが示すとおり、全体としての成長基調は維持されている。

一方で、株価は年初来高値から27%下落しており、今回のGPU投入が株価の底打ちと反転の起点となるかは不透明である。現時点では、新製品による出荷拡大とゲーミング部門の底堅さが相まって、当四半期の売上が市場予想を上回る可能性を高めるとの見方もあるが、その成果は販売実績と今後の業績発表に依存する部分が大きい。

Redburn Atlanticの高評価が示すマクロ環境下の強み

Nvidiaの株価上昇には、Redburn Atlanticのティム・シュルツ=メランダー氏による「トップピック」指定が大きく影響している。同氏は、AI技術と半導体製造分野における投資が、マクロ経済の変動にも耐えうる持続性を持つと評価しており、その中核企業としてNvidiaを位置付けている。提示された目標株価は178ドルで、現在の株価水準から見て55%超の上昇余地があるとする。

また、同氏の見解は、市場全体のコンセンサスとも一致している。アナリストの多くが「強い買い」と評価し、平均目標株価は174ドル前後に集中しており、一定の相場反転期待が背景にある。短期的には、テック製品への関税回避措置など、政策的な支援も市場心理の下支えとなり得る。とりわけ、米国における通商政策の動向がテクノロジー関連株に与える影響は、今後も注視されるべき点である。

ただし、株価反発の持続性は、実需と業績の裏付けがあってこそ成立するものであり、期待先行の段階にとどまる可能性も否定できない。Redburnの評価は市場に明確な方向感を与えたが、投資判断としては短期的なボラティリティも想定した慎重な姿勢が求められる。製品発表や決算など、今後の具体的成果が市場の期待に応えられるかが、株価動向を左右する重要なファクターとなる。

Source: Barchart