Appleは2025年6月のWWDCで、iPadOS 19を含む主要OS群の発表を予定しており、なかでもiPadOSは「生産性の大幅な向上」を掲げた抜本的な刷新が進行中と報じられている。BloombergのMark Gurman氏は、今回の改良がアプリウィンドウの管理やマルチタスクの強化に焦点を当てているとし、iPadOSがmacOSにさらに近づく可能性を示唆した。
過去にはStage Managerなど複数アプリ操作の試みがあったものの、Macに匹敵する体験には至っていない。ファイル管理やマルチユーザー対応など、長年の課題も多く、Appleがそれらを克服できるかが注目される。
iPadOS 19の刷新で狙うマルチタスクの本格強化とデスクトップ体験の接近

Appleは2025年6月開催予定のWWDCにおいて、iPadOS 19を含む新OS群の発表を計画している。その中で注目されるのが、iPadOSの大幅な刷新とされる内容である。BloombergのMark Gurman氏の報道によれば、今回の刷新はマルチタスク機能の強化、アプリウィンドウの管理性向上といった生産性の底上げを目的としている。
iPadを単なるタブレットとしてではなく、Macのような業務端末として位置づけ直そうとする意図が読み取れる。2022年に導入されたStage Managerは、ウィンドウベースのアプリ切り替えを可能にしたが、その挙動や自由度においては依然としてmacOSに遠く及ばなかった。今回のiPadOS 19が、これら過去の制約をどこまで超えるかが鍵を握る。
Appleはこれまでも、タッチ操作とデスクトップ級のUIとの融合を試みてきた。しかし、ユーザーからはウィンドウの自由な配置やアプリ同士の連携といった点で不満が根強かった。今回の刷新では、従来よりも柔軟なUI設計と、より明確なタスク切り替え設計が求められている。
iPadがノートPCの代替たり得るかどうかは、ユーザーインターフェースの洗練と機能面の成熟にかかっており、Appleの設計思想の一貫性もまた試される局面となるだろう。
macOSとの統合をにらんだiPadOSの進化と依然残る構造的課題
iPadOS 19はその構造上、macOSとの融合に向けた前進とも受け取れるが、根本的な課題も依然として残されている。ファイルの階層管理や複数ユーザーのサポートといった基本機能において、iPadOSは依然として制限が多く、PC的な運用には限界がある。たとえば、1台のデバイスを家族やチームで共有するユースケースでは、ユーザー切り替え機能の非搭載が足かせとなってきた。
加えて、macOSでは可能なシステムレベルのアプリ連携や開発者向け機能もiPadOSでは制限が強く、iPadの用途は教育・クリエイティブ・簡易ビジネスに限定されやすい状況が続いている。iPadが真にMacの代替となるためには、OSそのものの構造的な見直しが避けられない。
AppleはタブレットにmacOSを搭載するという選択肢を採らず、あくまでiPadOSを独立させているが、それが足かせになっている可能性も否定できない。一方で、タッチ操作に最適化されたUIと、Mシリーズチップによる高性能を活かせば、独自の進化系としてのポテンシャルも秘めている。今後、Appleがどこまでその分岐点を許容するのか、製品戦略の大局からも注目される展開といえる。
Source:Mashable