パランティア(PLTR)株は過去1週間で14%超の上昇を記録し、4月15日時点で91.68ドルに達した。しかし同時に、Fintelのデータによれば空売り比率は49.88%から67.21%に急増しており、依然として強い弱気圧力が継続している。

背景には、NATO向け契約や「SAVE法」などの追い風がある一方で、フォワードP/Eが197倍に達する高いバリュエーションや主要インサイダーによる株式売却といった不安材料も存在する。株価上昇にもかかわらず高まる空売り比率は、短期的な値動きが市場全体のセンチメントに左右されやすい状況を映しており、慎重な投資判断が求められる局面にある。

PLTR株に対する空売り急増の背景と構造的リスク

パランティア・テクノロジーズ(NASDAQ: PLTR)の株価は直近1週間で14.07%上昇し、4月15日時点で91.68ドルに達している。しかし、その裏で空売りの動きが急拡大している点が注目される。Fintelのデータによれば、PLTR株のショート・ボリューム比率は49.88%から67.21%へと大幅に上昇しており、これは11日金曜日に記録された67.77%というピークに迫る水準である。通常、株価上昇局面では空売り比率は縮小する傾向にあるが、今回は逆行している点が特異であり、根本的な需給バランスの歪みを示唆する。

このような空売り増加の背景には、同社の高い株価バリュエーションと、成長期待先行による過熱感がある。PLTRはフォワードP/Eレシオで197.06という水準にあり、これは業界平均を大幅に上回る。また、CEOであるアレックス・カープによる継続的なインサイダー売却も、投資家の警戒心を高める要因となっている。

短期的な価格変動は市場全体の動向に強く影響されるため、これらの構造的な懸念は空売り勢のポジション継続を後押しする要素となっている。

市場環境とニュース要因がもたらす強気シグナル

空売り増加の一方で、パランティア株価は複数の強気材料に支えられている。特筆すべきは、トランプ前大統領による関税一時停止の発表により、市場全体に一時的な安心感が広がったことである。パランティアは直接的な関税の影響を受けにくい事業構造を有しているが、株式市場全体のセンチメントの回復が株価押し上げに寄与したと考えられる。

また、同社がNATO向けに新たな「Maven Smart System」を供給するという報道は、政府系大型案件への関与強化を示すものであり、将来の収益基盤拡大の期待を生んでいる。

さらに、米国内で議論を呼んでいる「SAVE法」の成立が現実味を帯びた場合、セキュリティ・インフラに強みを持つパランティアにとって新たな需要創出が見込まれる。このように、政策要因と業績関連のポジティブなニュースが重なったことで、短期的には株価上昇の材料となりうる局面が形成されている。ただし、これらの材料はいずれも外部要因であり、根本的な企業価値を大きく押し上げるには至っていない可能性もある。慎重な姿勢が求められる所以である。

Source: Finbold