Samsungは欧州で新たに公開した特許において、Galaxy RingとGalaxy Watchを組み合わせてAndroid XRデバイスのUIを操作する次世代インターフェース構想を示した。特許図には、装着した指の動きによって仮想空間内の操作を行う様子や、リング内部に複数の磁性体を内包する構造が描かれており、高精度な動作認識が可能となる設計がうかがえる。

AppleのVision Proが空中ジェスチャーによるUI操作を採用している中、SamsungはウェアラブルとXRの連携による没入型体験に注力しており、今後スマートグラスとの連携によってAR・VR領域の操作性を抜本的に変える可能性がある。

Galaxy Ringが提示する新たな操作体系とその構造的特徴

Samsungが欧州で公開した特許資料では、Galaxy RingがAndroid XRヘッドセットと連携し、仮想空間における操作を可能にする仕組みが明示されている。特許図「FIG. 19」によれば、ユーザーが指にはめたスマートリングを動かすことで、XR UI内のメニューやオブジェクトを操作するインターフェースが設計されており、リングの向きや動きを高精度に認識することで、直感的なナビゲーションが実現されると示唆される。

また「FIG. 25」では、リング内部に4つの磁性体を内蔵する可能性が記されており、磁気センサーを用いた空間認識技術が重要な役割を担う構造が明らかとなった。この設計思想は、従来の空中ジェスチャーに依存する操作方法とは一線を画しており、物理的デバイスを通じた没入型体験を強調している。

AppleのVision Proでは手の動きによる空間的ジェスチャーが採用されているが、Galaxy Ringはより物理的なフィードバックを前提とする点が特徴的である。今後この技術が市販モデルに採用されれば、XR操作の精度と快適性の両立が可能となる環境整備が進む可能性がある。

ウェアラブル連携によるXRインターフェースの進化とその戦略的意図

Samsungの特許情報から浮かび上がるのは、Galaxy RingとGalaxy Watchの組み合わせによってXRデバイスを多面的に制御するという明確なビジョンである。両デバイスは単独使用のほか、連携使用も視野に入れられており、片手にRing、もう一方の手首にWatchを装着する構成や、両手にRingを装着するパターンも特許内で図示されている。

さらに、これらのウェアラブルは将来的にスマートグラスとの統合使用を見据えており、XR・AR・VRといった領域を跨ぐ包括的なユーザーインターフェースの構築が進められている。この構想は、GoogleとQualcommと連携して開発中のAndroid XRヘッドセットの操作系統において、Samsungが主導権を握る意図を読み取ることもできる。

Appleが独自エコシステムによってVision Proを差別化しているのに対し、Samsungは複数デバイスをハブとして接続する構造を打ち出すことで、オープンなプラットフォーム上での操作体験に新たな標準を打ち立てようとしているとも受け取れる。今後の市場競争では、こうしたクロスデバイス戦略の完成度が鍵を握る局面を迎える可能性が高い。

Source:Patently Apple