ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、1965年から2024年にかけて年率19.9%の複利成長を遂げた実績を持ち、S&P500のリターンを大幅に上回ってきた。GEICOやBNSF鉄道、2800億ドル規模の株式ポートフォリオを通じて多角的に収益を上げており、2024年末には3,450億ドル超の現金保有を示すなど、卓越した財務安定性を維持している。こうした経営戦略と慎重な資本配分姿勢は、2025年の市場混乱下においても投資家の信頼を集める要因となっている。
ただし、アナリストの注目銘柄からは外れ、過去のCAGR水準が今後も続く保証はないことから、急激な株価上昇は想定しにくい。一方で、同水準の成長が維持されれば、1,000万円規模の投資が十数年で億に到達するシナリオも現実味を帯びる。リスクを抑えながら
年率19.9%の複利成長と多角化経営が築いた盤石な投資実績

バークシャー・ハサウェイは1965年から2024年の59年間にわたり、年率換算で19.9%という驚異的な複利リターンを達成し、S&P500指数(配当込み)の10.4%を大幅に上回る成績を示した。この実績は配当を一切支払わずに達成されたものであり、資本の再投資戦略と内部留保の活用によって継続的な企業価値の上昇を実現している。
同社が保有する保険会社GEICO、鉄道会社BNSF、エネルギー関連資産、製造業、小売業などの多様な事業構成は、高度な分散性を保ちつつも安定した収益基盤を支えている。さらに、2,580億ドル超の株式ポートフォリオは、アップルやシェブロン、アメリカン・エキスプレスをはじめとする多種多様な業種への投資を通じて、資産全体の成長を後押ししてきた。
こうした実績は、バフェットが唱える「営業利益を重視せよ」という原則にも通じており、短期的な株価変動や市場の騒音に左右されることなく、本質的価値に基づく投資哲学が体現されている点に注目すべきである。
ただし、現在の時価総額は1兆ドルを超えており、過去と同等の成長率を今後も維持する保証はない。規模拡大に伴う伸びしろの制約も考慮されるため、かつてのようなリターンを期待するには冷静な見通しが求められる。しかし、過去にこの株に投資してきた者の中には、複利の力によって莫大な資産を築いた者もおり、長期投資の象徴としての評価は揺らいでいない。
潤沢なキャッシュ保有と慎重な資本配分が生む市場での信頼感
2024年末時点において、バークシャー・ハサウェイは現金、現金同等物、短期米国債、満期証券を含む3,450億ドルを超える資産を保有しており、これが同社の強固な財務体質と市場における安全資産としての地位を示している。
保険事業で得たフロート(顧客から預かった保険料を運用可能な資金)を巧みに活用しながら、機動的かつ選択的に投資機会を捉える姿勢が、過去の数々の好成績の原動力となってきた。とりわけ、2025年の市場混乱期においてもS&P500を上回るパフォーマンスを記録した事実は、慎重な資本運用が持つ威力を裏付ける結果である。
加えて、昨年の強気相場で多くの投資家が過熱気味に株を買い進める中、バークシャーは一貫して株式売却を実行し、自社株買いも控えめにとどめた。このような対照的な行動は、感情に左右されない投資判断と資本保全の優先順位を明確に示しており、経営判断の信頼性を高めているといえる。また、分散投資に懐疑的であったバフェットが築いた企業が、実際には多様な資産クラスとセクターへの投資によって運用の安定性を担保している点は、理論と実務の絶妙な融合を表している。将来の市場変動に備えた防御的資産構成として、同社の財務構造は今後も評価され続ける可能性がある。
Source: The Motley Fool