ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイは、配当を出さずに再投資を重視するスタイルで知られるが、その保有銘柄には高配当株が含まれている。中でも注目すべきは、配当王として半世紀以上増配を続けるコカ・コーラ(KO)、全気候型のエネルギー企業シェブロン(CVX)、再建中ながら利回りの高いクラフト・ハインツ(KHC)の3社である。

これらの企業はそれぞれ異なる業種に属しつつも、キャッシュフロー創出力の高さや安定した配当政策を共通点として持つ。とりわけシェブロンは現状で4.7%の高利回りを示し、クラフト・ハインツは再建の成否次第で将来性が左右される高リスク・高リターン銘柄と見なされる。

バフェット流の本質は特定銘柄の模倣ではなく、配当を再投資し複利で資産を増やすアプローチにある。銘柄選び以上に、その運用哲学への理解と実行が、長期的な収益成長の鍵を握る。

バフェットが選ぶ3銘柄の配当戦略とその背景

ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが保有する配当株の中で注目されるのが、コカ・コーラ(KO)、シェブロン(CVX)、クラフト・ハインツ(KHC)の3社である。コカ・コーラは50年以上連続で増配しており、「配当王」の称号を持つ。配当利回りは2.9%と市場平均を上回るが、現在の株価水準はやや割高である。

これに対し、シェブロンは原油価格の変動を吸収できる統合型エネルギー企業で、現在の配当利回りは4.7%。エネルギー価格が低迷する局面でも配当維持の実績がある。一方、クラフト・ハインツは再建途上にある食品企業で、2019年に減配を経験して以降、配当は据え置かれたままであるが、利回りは5.3%と高水準を維持している。

これらの銘柄には共通して安定したキャッシュフローと成熟した事業基盤が存在するが、それぞれに異なる投資リスクも内包している。特にクラフト・ハインツのような再構築段階の企業は、収益構造の改善が進まなければ株主還元の持続性に懸念が残る。

バフェットがこの3社に投資する理由は、配当利回りの高さだけでなく、企業の長期的競争優位性と資本効率性を重視している点にあると考えられる。個別銘柄の配当利回りに注目するだけではなく、事業の質と財務健全性を見極めることが投資判断において不可欠である。

配当再投資がもたらす複利の力とバフェット流資産形成術

ウォーレン・バフェットの投資スタイルの核心は、配当そのものの受け取りではなく、その再投資による複利効果にある。バークシャー・ハサウェイ自身は配当を支払わない企業として知られるが、それは得られたキャッシュフローを新たな投資に振り向け、長期的な資産拡大を目指しているためである。

バフェットが保有する配当株からのインカムも、最終的には再投資を通じてリターンを最大化する手段として機能している。この仕組みは一般投資家にも再現可能であり、証券会社のDRIP(配当再投資プログラム)などを活用することで実践可能となる。

この複利効果を前提とした投資アプローチは、単年度の配当利回りや株価の値動きに左右されず、長期的な成長資産の構築に寄与する。たとえば、コカ・コーラのように安定配当が続く銘柄を継続的に再投資していくことで、元本に対する配当総額は時間と共に指数関数的に増加する。ここで重要なのは、配当を単なる「利益確定」の手段として扱うのではなく、次なる投資の原資と捉える発想である。これが、配当再投資によって築かれる資産成長の土台となる。個別銘柄の選定と並行して、再投資戦略の整備が長期運用の成否を分ける要素となろう。

Source: The Motley Fool