NVIDIAは、DLSS 4を搭載した新型GPU「RTX 5060」および「RTX 5060 Ti」を正式発表した。Tiモデルは4月16日に先行発売され、8GB版は379ドル、16GB版は429ドルで提供される。標準モデルは5月に登場予定で、価格は299ドルからとなる。

これらはCUDAコア数とTGPで差別化されており、特にTiモデルでは1440pのゲーム環境においてRTX 4060 Ti比で2倍、RTX 3060 Ti比で5倍のフレームレート向上が社内試験で確認された。

性能向上の要因は主にDLSS 4のマルチフレーム生成によるものであり、従来の純粋なハードウェア進化とは性質が異なる。PCIe Gen 5.0への対応やマザーボードのアップグレードが必要となる点も一部ユーザーに影響を与える可能性がある。エントリー市場向けとはいえ、転売対象となる恐れも指摘されており、価格動向にも注意が必要である。

RTX 5060シリーズの仕様と発売時期の詳細

RTX 5060およびRTX 5060 Tiは、NVIDIAが新たに投入するエントリー帯向けGPUであり、DLSS 4を前提とした設計がなされている。

RTX 5060 TiはCUDAコア数4,608基、TGP180Wで構成され、8GB版と16GB版が存在する。いずれも2025年4月16日に市場投入され、希望小売価格はそれぞれ379ドルおよび429ドルに設定されている。一方、CUDAコア数3,840基、TGP145WのRTX 5060は5月に発売予定とされ、299ドルからの価格帯となる。

両モデルともPCIe Gen 5.0 X8インターフェースに対応しており、マザーボードの世代によっては交換を要するケースが想定される。

RTX 5060ファミリーは、DLSS 4によるマルチフレーム生成機能を搭載しており、純粋なラスタライズ性能の伸長よりもソフトウェア機能に依存するパフォーマンス向上が主眼とされている。従来機種であるRTX 3060や4060からの乗り換えを視野に入れるユーザー層にとっては、有効な選択肢となり得る構成である。

DLSS 4の戦略的位置づけと今後のGPU開発に与える示唆

RTX 5060シリーズが示す最大の転換点は、ハードウェア性能ではなく、DLSS 4による描画補完技術を主軸とした製品設計にある。

特に、NVIDIA内部試験における『ホグワーツ・レガシー』での1440p設定において、RTX 5060 Tiが171FPSを達成し、前世代4060 Tiの87FPSや3060 Tiの34FPSを大きく上回った点は注目に値する。ただし、この性能差の大半はDLSS 4による生成フレームが寄与しており、GPUそのものの描画能力によるものではないと見られる。

このアプローチは、将来的なエントリーモデルやミッドレンジGPUにおいてもDLSS技術の依存度が高まる傾向を示唆する。従来のようなハードウェアのトランジスタ増強ではなく、アルゴリズムによる最適化で性能を確保する戦略が拡大すれば、消費電力や製造コストの制御にも寄与し得る。

一方で、リアルなフレーム描画を重視する用途においては、DLSS依存による画質変化や入力遅延の懸念が今後の論点となる可能性がある。価格性能比に優れる一方、過信は避けるべき構成ともいえる。

Source:Android Headlines