Googleは、Android版Chromeにおいてアドレスバーを画面下部に配置できるオプションの提供を正式に開始した。バージョン135の一部ユーザーで既に確認されており、「設定」内の新メニューやポップアップの案内によって操作が可能となっている。アドレスバーの位置変更により、特に片手操作時の利便性向上が期待されるが、ブックマークや履歴といった主要操作系は従来通り画面上部に留まっており、統一感にはやや欠ける印象もある。
今回の導入は、2023年10月にiOS版Chromeで先行実装されていた内容をAndroidにも拡大した形で、GoogleによるモバイルUI改善の継続的な取り組みの一環と見られる。一方でChromeの設定画面も再設計され、「基本」や「パスワードと自動入力」セクションの簡素化と整理が図られており、機能面にとどまらないUX最適化も進行している。
Android版Chromeに導入されたアドレスバーの下部配置機能が一部ユーザーに展開中

GoogleはAndroid向けChromeバージョン135において、アドレスバーを画面下部に移動できる新機能を一部ユーザーに向けて配信し始めた。従来は上部に固定されていたオムニボックスが、親指での操作に適した位置へと変更可能になったことで、片手での操作性が改善されることが期待される。対象ユーザーの端末では、「アドレスバーを下に移動するには、長押ししてください」との案内が表示されるほか、「設定」内に専用メニューも追加されている。
この変更は、2023年10月にiOS版Chromeで導入された同様の機能に続くもので、Androidへの展開は段階的に進められているようだ。ただし、アドレスバーの移動に伴うUI全体の再設計は行われておらず、ブックマークや新しいタブ、履歴などの操作項目は引き続き画面上部に配置されたままとなっている。このため、見た目や操作性に一貫性を欠いている印象を受ける可能性もある。今後、周辺メニューの最適化も含めた全体的なUI改善が進むかが注目される。
設定画面の再設計が示すGoogleの整理志向とUX重視の方針
Chromeバージョン135ではアドレスバーの下部移動と並行して、「設定」画面の再設計も行われている。従来の煩雑な項目群は「基本(Basics)」と「詳細設定(Advanced)」に明確に区分され、前者には「検索エンジン」「アドレスバー」「プライバシーとセキュリティ」「安全確認」といった日常的に触れる設定のみが集約されている。さらに、「パスワードと自動入力」セクションでは、Googleパスワードマネージャーや支払い情報などが一画面にまとめられ、利用頻度の高い設定へのアクセスがより直感的になっている。
このような再構成は、Chromeの機能増加によって煩雑化していた設定項目を整理することで、操作時の迷いを減らし、利用者の目的達成を迅速化する意図があると考えられる。ただし、詳細設定に分類されたメニューには「新しいタブページ」や「ツールバーのショートカット」といった、個人の操作性に影響する要素も含まれており、それらが奥深くに隠れることによる不便さを感じる場面もあるかもしれない。全体として、GoogleはシンプルなUIへの回帰を図っているが、今後は整理と柔軟性のバランスが問われることになりそうだ。
Source:9to5Google