vivo X200 Ultraの正式発表を前に、同機のカメラ構成と画像処理技術の詳細が公式に明らかになった。35mmメイン、14mm超広角、85mm望遠の3眼構成で、メインと超広角には同じLYT-818センサーを採用し、超広角には最大2°補正のOISも搭載されている。

望遠はZeissの85mmアポクロマートレンズと2億画素センサーを組み合わせ、高倍率ズーム性能が期待される。全カメラで4K 120fps撮影が可能なほか、VS1と呼ばれる80 TOPS対応のAI画像処理チップも目玉となっており、Snapdragon 8 Eliteを採用した構成との組み合わせが処理性能を大きく引き上げている。

Zeiss製85mm望遠と200MPセンサーがもたらす次元の異なる撮影体験

vivo X200 Ultraに搭載される85mm望遠カメラは、Zeiss製アポクロマートレンズと200MPの高解像度センサーによって構成されており、色収差の少なさと解像感の高さが際立つ仕様となっている。特にこの組み合わせは、細部の描写にこだわるシーンや高倍率ズーム時の鮮鋭感を確保する上で大きな強みとなる。vivoはこのカメラで最大30倍ズームの実用性を訴求しており、ティーザー画像では35倍・800mm相当での作例も紹介されている。

画素数の高さだけではなく、アポクロマート構成がもたらす精密な色収差補正により、ズーム時の被写体のにじみや色のブレを最小限に抑えられる点は、スマートフォンでは稀有なアプローチである。画質を保ったまま高倍率のズーム表現を行うには、光学設計と画像処理の両面での最適化が不可欠であり、この仕様はその両立を意識した設計と考えられる。

一方で、200MPという解像度の扱いには処理性能とストレージ圧迫といった課題も伴う可能性があり、どのようなソフトウェア制御が行われているかは今後の使用体験の中で注視される点になるだろう。

80 TOPSのAI ISP「VS1」が映像表現を根本から進化させる鍵に

vivo X200 Ultraが搭載するVS1は、vivoが初めて開発したAI画像処理プロセッサであり、1秒間に80兆回の演算を実行できる圧倒的な処理性能を持つ。これはPC用のSnapdragon X EliteのNPU(45 TOPS)を大きく上回り、vivoがこのチップをモバイルデバイス用に特化して設計したことがうかがえる。処理効率においても16 TOPS/Wという高い水準を達成しており、バッテリー消費とのバランスも意識された構成である。

このVS1は、撮影時のプリプロセッシングに関与し、AIによるノイズ除去、色補正、HDR制御などをリアルタイムで行うことで、従来以上に自然で階調豊かな描写が可能となる。動画撮影においてもその能力は発揮されており、4K/120fpsや10bit Log撮影、DCG HDR対応などの高度な映像記録機能を裏で支えている。

ただし、VS1のような高性能なAI ISPが実際にどれだけユーザー体験に影響するかは、撮影条件や被写体の違いによって感じ方に差が出る可能性がある。スペック上の数値だけでは測れないリアルな描写力の進化が、今後の作例やレビューによって明らかになっていくと考えられる。

Source:GSMArena