NVIDIAは、GeForce RTX 50シリーズで多発していたブラックスクリーンやランダムクラッシュといった重大な不具合を修正する「GeForce Game Ready 576.02 WHQLドライバー」を公開した。本ドライバーは、FortniteやStar Wars Outlawsなど複数のタイトルで報告されていた異常動作を是正し、DLSSやG-SYNC利用時の安定性も改善。また、DisplayPort使用時や高負荷状態での表示不具合、Windows 11 24H2環境における互換性問題にも対応している。

一方で、ノートPC環境でのスタンバイ復帰時のブラックスクリーンや、Cyberpunk 2077・Red Dead Redemption 2における特定モードでのクラッシュといった未解決の問題も残されており、NVIDIAの安定化戦略にはなお継続的な改善が求められる。最新のGeForce RTX 5060 Tiも本バージョンで正式対応となったが、根本的な品質担保には今後の検証が不可欠といえる。

RTX 50シリーズに集中した深刻な不具合と修正範囲の全容

NVIDIAが公開したGeForce Game Ready 576.02 WHQLドライバーは、RTX 50シリーズを中心に発生していたブラックスクリーン、クラッシュ、フリーズといった複数の重大不具合に対応した。特に、ゲームプレイ中に発生する不安定な挙動は、Fortnite、The First Berserker: Khazan、Star Wars Outlawsなどの主要タイトルで確認され、DLSSやGSYNCとの併用時における描画エラーや動作停止も多発していた。

さらに、Windows 11 24H2環境との互換性問題、DisplayPort 2.1接続下での映像消失、ドライバーインストール後やスリープ復帰時にディスプレイが表示されない事象など、OSとハードウェアをまたぐ広範な不具合が対象となっている。

RTX 50シリーズでは発売直後から多数の報告が寄せられていたが、これまでのホットフィックスでは限定的な対応にとどまり、ユーザーは旧版ドライバーへのロールバックを強いられる事態も続出していた。今回の576.02は、RTX 40や30シリーズの既存モデルにも影響していた不具合への対処を含んでおり、ようやく包括的な安定性向上が期待される段階に達した。ただし、ドライバー更新によってすべての問題が解消されたわけではなく、安定運用のためには今後もさらなる技術的改善が不可欠である。

残された未解決の障害と品質管理上の課題

本ドライバーアップデートは多数の不具合修正を含む一方で、依然としていくつかの重大な問題が残されている。RTX 50シリーズを搭載したノートPCでは、モダンスタンバイからの復帰時にブラックスクリーンが発生するケースが継続しており、復旧の手段も限られている。

また、Cyberpunk 2077ではパストレーシング有効時にフォトモード使用中のクラッシュが報告され、Red Dead Redemption 2ではDX12モード起動直後のアプリケーション停止が依然として発生している。これらはドライバー側での対応未了であり、ユーザーにとってはゲームプレイや業務環境に直接的な支障を及ぼす未解決の脅威となっている。

本来、最新世代GPUのリリース時には、事前の安定性検証とドライバー整備が万全であることが求められる。しかし、RTX 50シリーズではその前提が崩れたまま数ヶ月が経過しており、GeForceブランドに対する信頼維持にも陰りが見える。とりわけ高負荷時や高リフレッシュレート環境での画面出力トラブル、VRデバイスとの接続失敗など、プロフェッショナル用途でも無視できない技術的課題が露呈している。今回の修正で得られる安定性向上は一定の前進といえるが、NVIDIAには今後さらに高水準の品質管理体制が求められる局面にある。

Source:Wccftech