インテルは、2015年に167億ドルで買収したFPGA子会社アルテラの過半数株式を、投資会社シルバー・レイクに87.5億ドルの評価額で売却することで合意した。営業損失が続く中、リップ・ブー・タンCEOは同社再建の一環として非中核資産の切り離しを進めており、インテルは今後もファウンドリ事業を通じてアルテラとの関係を維持する見通しである。
市場ではこの売却に対する見解が分かれており、一部アナリストは損失確定に懸念を示し「売り」評価を出す一方で、FPGA市場の成長性やインテルの持分維持を評価し「保留」姿勢を支持する声もある。4月24日に予定される決算発表で、同取引の長期的影響がより明確になるとみられる。
アルテラ売却は戦略的資産再編の一環 インテル再建に向けた象徴的判断

インテルがFPGA事業を担うアルテラの過半株式を87.5億ドルの評価額でシルバー・レイクに売却した決断は、タンCEOが進める構造改革の要である。2015年に167億ドルで買収した企業が収益低迷を続ける中、2024年には同部門で6億1,500万ドルの損失を計上した。
この現実を受け、非中核資産の整理と財務健全化を図る動きと位置付けられる。インテルは引き続き49%の少数株を保有し、将来的な価値回復の可能性には一定の期待を残している。また、アルテラとはファウンドリ分野での協業を維持する方針で、完全な切り離しではなく関係性の再構築を目指している点も注目される。
この売却により、インテルは自社の損益計算からアルテラを除外し、財務体質の透明性を高める狙いもあるとみられる。アルテラの売上は2024年時点で15億ドルにとどまっており、2014年の19億ドルから縮小した形となる。タン氏が打ち出す再建路線の中でも、今回の判断は企業価値向上に直結する要素であり、4月24日に予定される決算発表ではその具体的影響が改めて精査されるだろう。
市場の評価は分かれる 成長期待と損失確定のはざまで揺れる投資判断
今回のアルテラ売却に対し、ウォール街の評価は二極化している。Rosenblatt Securitiesのケビン・キャシディ氏はインテル株に「売り」評価を示し、売却は収益性低下の露呈と見なしている。一方、Stifelのルーベン・ロイ氏は、損失確定を前提としつつも、少数株の保有継続とFPGA市場の将来的成長性を勘案して「保留」評価を下した。インテルの株価目標についても、キャシディ氏は明示を避ける姿勢を見せる一方で、ロイ氏は21ドルとの具体的見通しを示している。
加えて、36名のアナリストによる評価では「保留」が大多数を占め、「強い買い」は1名にとどまり、「強い売り」が4名存在するという構成となっている。平均目標株価は24.62ドルで、現在値から30%近い上昇余地があると試算されている。
こうしたデータは、アルテラ売却がインテル株の将来的価値に対して限定的かつ中立的な影響と受け取られていることを示唆する。ただし、FPGA市場の成長トレンドやタンCEOの戦略遂行力が今後の評価を左右する要素となる可能性は否定できない。
Source: Barchart.com