Windows 11バージョン24H2向けに配信された4月のセキュリティ更新KB5055523が、エラーコード「0x18B(SECURE_KERNEL_ERROR)」を伴うブルースクリーン(BSOD)を引き起こしている。Microsoftは企業向けにはグループポリシーによる回避策「KIR」を提供しているが、一般ユーザーは最大24時間の待機が必要とされる。

さらに、この不具合はWindows Helloの顔認証機能や、ARMデバイス上でのRobloxの利用、Citrix製品との互換性にも波及しており、Patch Tuesday配信直後の恒例とも言える障害の再発として注目されている。

ブルースクリーンの原因はSECURE_KERNEL_ERROR 最新パッチKB5055523に潜む不具合

Windows 11バージョン24H2に対して4月9日に配信された累積更新プログラムKB5055523が、エラーコード「0x18B(SECURE_KERNEL_ERROR)」を引き金とするブルースクリーン(BSOD)の発生要因となっている。

Microsoftのサポート文書では、更新後の再起動時にこの致命的エラーによりシステムが停止する可能性があると明記されており、セキュリティ更新にもかかわらず安定性への影響が深刻であることが判明した。

Microsoftは企業環境を対象にグループポリシー経由で適用可能な「既知の問題ロールバック(KIR)」を用意しているが、この回避策は一般消費者の端末には即時に反映されず、最長で24時間の待機が必要とされる。修正の反映を促す手段としては再起動が推奨されているが、確実な解決策とは言えない。

このようなBSODの発生は、更新プロセスにおける品質管理の課題を再び浮き彫りにしている。特に、セキュリティパッチの強制適用が事実上不可避である以上、不具合の影響範囲と対応速度がユーザーの信頼に直結することは言うまでもない。

今回のように修正策の提供が時間を要し、かつ自動反映が前提となる運用設計では、ユーザー側に過度な不安や混乱が生じる恐れがある。今後のアップデート運用においては、配信前検証の徹底とともに、即時対応可能な代替的選択肢の整備が不可欠であるといえる。

Windows HelloとARM向けアプリにも波及する障害 複合的な影響が明らかに

KB5055523による不具合はブルースクリーンだけにとどまらず、Windows HelloやARMベースシステムにおけるRobloxの起動失敗といった周辺機能にも広範囲に波及している。

Windows Helloは顔認証を用いたパスワードレス認証の中核技術として、特に業務環境において高頻度で使用されているが、今回の更新後に認証プロセスが動作しない不具合が報告されており、生産性やセキュリティポリシーに直接的な影響を及ぼす恐れがある。さらに、ARMアーキテクチャを採用するデバイスでは、Microsoft StoreからのRobloxのインストールおよび起動に失敗するケースが確認されている。

これらの障害が示唆するのは、セキュリティ更新であってもOSの中核的機能や外部アプリとの互換性が保証されない場合があるという点である。

Windows HelloやRobloxのように、多くのユーザーが日常的に利用する機能が突如として不安定化する状況は、システム全体の信頼性に対する根本的な懸念を生じさせる。

特にARM環境のような新興アーキテクチャに対しては、より入念な互換性テストと段階的な展開手順が必要とされるだろう。更新プログラムの意図と影響範囲の乖離を最小化するためには、Microsoft側における品質管理体制の一層の精緻化が求められる。

Source:XDA