Windows 11環境において、一部ユーザーが顔認証やPINによるサインインに失敗する深刻な不具合が発生している。この問題は「このPCをリセット」機能を特定の手順で実行した後に顕在化し、Windows Helloの顔認証機能やPINコード認証が使用できなくなるというものだ。
マイクロソフトはこの事象を例外的ケースと位置付ける一方、影響を受けたユーザーには「PINが利用できません」や「顔の設定に問題が発生しました」といったエラーメッセージが表示され、再設定を求められる状況に陥っている。
この不具合は限定的な条件下で発生することから、大半のユーザーには影響しないと見られている。しかし、現時点で正式な修正パッチは提供されておらず、マイクロソフトは公式サポートページ上で回避策のみを案内するにとどまっている。OSの信頼性が問われる中、今後の対応が注視される。
Windows Helloの障害は「PCリセット」による限定的発生条件が鍵

今回報告されたWindows Helloの不具合は、Windows 11環境において「このPCをリセット」機能を用いた特定の操作を経た後に発生するものであり、一般的な利用環境では再現しにくい例外的なケースであるとされる。
特に、「ファイルを保持」オプションを選択したうえで「ローカルインストール」を行った場合に問題が顕在化しやすいとされ、Push button reset(PBR)との関連性も指摘されている。顔認証やPINコードといったWindows Helloの主要認証機能が使えなくなり、「PINが利用できません」や「顔の設定に問題が発生しました」といったエラー表示がなされる。
この問題は限定的かつ一部の構成に依存するとマイクロソフトは説明しており、影響範囲は全体から見れば極めて狭い。にもかかわらず、再ログイン不能という性質上、業務環境ではクリティカルな障害となりうるため、管理者レベルでの事前認識が求められる。
Windows Helloはセキュリティと利便性を両立する重要な基盤であるが、その設定リセットに絡む不安定性は、より慎重な運用方針の必要性を浮き彫りにしている。
修正パッチ未提供の現状と暫定的な回避策の運用上の課題
マイクロソフトはこの不具合について、2025年4月時点で修正プログラム(パッチ)を提供しておらず、暫定的な対処策のみを案内している。
その内容は、Windows Helloの再設定をユーザー自身が手動で行うことを求めるもので、具体的には「設定」→「アカウント」→「サインインオプション」→「顔認証(Windows Hello)」→「設定」へと進み、再度顔認証もしくはPINを登録する手順が必要とされる。影響を受けたユーザーにとっては、この作業自体がPCへのアクセス権を失った状態での実行となる可能性があり、現実的な難易度は高い。
現時点でのマイクロソフトの対応は、情報提供と回避策の提示に留まっており、組織運用下の端末では、ユーザー支援部門が代行設定する手間や、サポートリソースの逼迫を招く恐れもある。
加えて、再設定が個人ごとに異なる手順を要するため、管理テンプレート化も困難である。恒久的なパッチ提供がなければ、今後も再発リスクや運用負荷の増大が避けられない状況にある。マイクロソフトの迅速な対応が望まれる一方で、現場における運用実務への影響が拡大する懸念が強まっている。
Source:PhoneArena