2025年4月8日に提供されたWindows 11 24H2の更新プログラム「KB5055523」などを適用後、多数のユーザー環境で「SECURE_KERNEL_ERROR」を伴うブルースクリーン(BSOD)が発生している。影響対象は同年3月の「KB5053598」「KB5053656」も含まれ、Microsoftはようやく問題の存在を公式に認め、修正に向けたサーバー側対応を開始した。

この不具合により、システムが頻繁にクラッシュや再起動を繰り返す事例や、Windows Helloの顔認証機能が使用不能となる障害も確認されている。Microsoftは一時的な対処として、問題コードをロールバックする措置を講じたが、完全な修正には今後のアップデートが必要とされる見込みである。

影響を受けた更新プログラムと障害の実態

2025年4月8日に配信されたWindows 11 24H2向け更新プログラム「KB5055523」は、システム安定性を著しく損なうバグを含んでいた。具体的には、更新適用後に「SECURE_KERNEL_ERROR」や「CRITICAL_PROCESS_DIED」といったストップコードを伴うブルースクリーン(BSOD)が多数発生し、ユーザー環境によっては30秒から1分おきにクラッシュと再起動を繰り返す深刻な障害が確認された。

この問題は、3月の「KB5053598」「KB5053656」も同様に影響しており、複数のリリースに共通した不具合であることが明らかになった。

Microsoftは当初これらを単発の事象と見なしていたが、Windows Latestの調査によって被害の広がりが露見し、同社も公式に障害を認める形となった。特筆すべきは、「KB5055523」により、inetpubフォルダが意図せず生成される別の問題も併発している点である。

また、同パッチはWindows Helloにも影響を与えており、一部デバイスでは顔認証や虹彩認証が使用不能になっている。今後の更新での修正が予定されているものの、現時点では回避策の範囲にとどまっており、抜本的な安定性の回復には至っていない。

Microsoftの応急措置とその限界

Microsoftは2025年4月中旬、深刻なBSODの発生を受け、恒久的な修正が整うまでの暫定措置としてサーバーサイドでのコード無効化を実施した。これは「既知の問題のロールバック(KIR)」機能を活用したもので、対象デバイスに対して問題となるコードを非アクティブ化することで、再起動直後のBSODを防ぐ仕組みである。

ただし、この修正はWindows Updateの一覧には表示されず、更新確認の操作を複数回手動で実施する必要がある。また、サーバー側の配信が反映されるまでに最大24時間を要する場合があるとMicrosoftは説明している。

ユーザー側にできる対策としては、再起動と更新確認を数回繰り返すことにより、修正コードを確実に適用させるという選択肢しか現状では提示されていない。

このように、緊急対応としての意義は認められる一方、透明性に欠ける点や即時性の不足は否めず、エンタープライズ用途を中心に、安定稼働を前提とした環境では依然として大きなリスクが残存している。正式な修正プログラムの展開が待たれるが、過去の事例からも即時の展開は期待し難く、IT管理者側には慎重な対応が求められる。

Source:Windows Latest