Microsoftは、Windows版クラシックOutlookにおいて、入力中にCPU使用率が30~50%まで急上昇する問題を確認した。これはバージョン2406 ビルド17726.20126以降に更新された「Current」「Monthly Enterprise」「Insider」の各チャネルで報告されており、スペルチェックやアドインを無効化しても解消されないという。

同社は影響を受けたユーザーに対し、負荷のかからない「Semi-Annual Channel」への切り替えを推奨し、レジストリ設定を通じた対応手順も公表した。Redmondの技術チームは現在調査中であり、IT管理者にはMicrosoft 365管理センターなどを用いた一括対応も案内している。

本件は、2025年4月のOfficeクラッシュ修正アップデートやライセンス認証障害に続くものであり、Microsoft 365関連の品質問題が継続して顕在化している状況といえる。

クラシックOutlookのCPU異常上昇 対象バージョンと影響範囲

Microsoftは、クラシックOutlookにおいてテキスト入力中にCPU使用率が30~50%まで急上昇する問題を認識している。影響は「Current Channel」「Monthly Enterprise Channel」「Insider Channel」に属するOutlookバージョン2406 ビルド17726.20126以降で発生しており、スペルチェックやアドインの設定変更では改善されない。

Microsoftが公開したサポート文書では、この挙動がタスクマネージャーで確認できると明記されており、実務上の支障が出る可能性もある。入力作業に伴う電力消費の増加も並行して観測されているため、ノートPC利用者などにはバッテリー駆動への影響も無視できない。

特筆すべきは、問題発生の契機がOfficeの定期更新に伴うバージョン変更である点である。これは、Microsoftが推進してきた「継続的な更新」に潜むリスクが表面化した事例とも読める。更新により新機能や修正が適用される一方、現場レベルでは性能低下や互換性の喪失といった副作用が発生しやすい。

Microsoft側はRedmondの技術陣による調査を進めているとしながらも、現時点で恒久的な修正は示されていない。

Semi-Annual Channelへの回避策とIT部門の対応方針

今回の不具合に対し、Microsoftは影響回避の暫定措置として、安定性が重視される「Semi-Annual Channel」へのチャネル変更を提案している。この変更は、レジストリに「updatebranch」のキーを追加することで可能であり、コマンドプロンプトを用いた明示的な手動設定が求められる。

また、Microsoft 365 Apps管理センターやIntune、グループポリシー、Office Deployment Toolなどの統合管理手段を活用すれば、組織単位での一括適用も行えるとされる。これにより、大規模環境でも迅速な対応が可能となる設計である。

この対応提案は、Microsoftが同様の不具合を一過性の個別事象ではなく、構造的問題として捉えていることを示唆する。2025年4月に発生したWordやExcel、Outlookのクラッシュ修正の緊急配布に加え、過去にもOutlookのドラッグ&ドロップ機能破損やライセンス認証の障害が頻発していた。

こうした事象の蓄積は、Microsoft 365の提供形態そのものに対する信頼感の揺らぎを招きかねない。IT管理部門としては、更新ポリシーの見直しやチャネル選定の基準を改めて検討する必要が生じている。

品質問題の連鎖とMicrosoft 365全体への波及リスク

今回のOutlookにおけるCPU異常問題は、単一製品の障害にとどまらず、Microsoft 365エコシステム全体に内在する品質管理上の課題を露呈させた。

過去数ヶ月にも「Family」サブスクリプションでのライセンス認証問題や、クラシックOutlookに戻る操作によって発生する強制終了バグなど、複数の重大な不具合が報告されている。こうした障害は、製品の信頼性やユーザーエクスペリエンスの低下を招くだけでなく、クラウド上で提供されるSaaS型アプリケーションの安定性に対する不安も増幅させる要因となっている。

特に、Outlookは業務上の情報ハブとして日常的に活用されているだけに、性能低下や操作不能に陥ることの影響は甚大である。ユーザーが受けるストレスや業務効率への影響は短期的な損失にとどまらず、企業全体の信頼性にも波及する可能性がある。これらの状況を踏まえれば、Microsoftに対する監視体制の強化とともに、ユーザー側の運用設計にも堅牢性を確保する仕組みが求められる局面にあるといえる。

Source:BleepingComputer