IntelがCES 2025で発表したLGA 1700向け「Bartlett Lake」プロセッサに、12基のRaptor Coveパフォーマンスコアを備えたゲーミング用途想定の新型チップが存在する可能性が浮上した。MSIとの関係が深いオーバークロッカーToppcが、中国BilibiliでAIDA64更新に意味深な言及を行い、Bartlett Lake-Sのメインストリーム展開を暗示した。

従来はネットワークやエッジ用途が主眼とされていた同シリーズだが、Gracemont Eコアを排した一枚岩構成の登場により、従来の性能ボトルネックや安定性問題からの脱却が期待されている。一方で、最大クロックやマルチコア性能においては、従来のハイエンドモデルを超える水準には届かない可能性も指摘されている。

市場投入の有無は未確定ながら、既存のAlder Lakeユーザーにとっては電力制限やキャッシュ構成の進化を伴う魅力的な選択肢となり得る。今後のリーク情報により、Intelの戦略が徐々に明らかになると見られる。

完全同質構成の12コア設計がもたらす性能的意義

IntelのBartlett Lake-Sが12基のRaptor Coveパフォーマンスコアを単独で搭載する構成であるとの情報が注目を集めている。これはGracemont系Eコアを併載しない「完全同質(homogeneous)」な設計であり、ハイブリッドアーキテクチャから距離を置いたアプローチとなる。

CES 2025で発表された同シリーズは本来、エッジコンピューティングやネットワークシステム向けであり、これまでゲーミング用途は視野に入っていなかった。しかしこの12コア設計の存在により、LGA 1700プラットフォームの最後の一手としての可能性がにわかに現実味を帯び始めている。

一枚岩的なコア構成は、Alder Lake世代で指摘されたリングバス設計に起因する性能低下の懸念を緩和し得ると考えられている。また、Raptor Lake系で顕著化した「Vmin Shift不安定性問題」を回避する構造である可能性もある。

これらの技術的利点は、同一アーキテクチャの中でも構成を見直すことで安定性と処理性能の両立を目指すIntelの試みと読み取れる。とはいえ、Bartlett Lake-Sが一般流通する見込みは未確定であり、現時点では業務用途に限った展開にとどまるとの見方が支配的である。

MSI関係者の発言が暗示するメインストリーム展開の可能性

中国Bilibili上でMSIと関係の深いオーバークロッカーToppcが投稿した内容が、Bartlett Lake-Sの市場展開に関する議論に火をつけている。

ToppcはAIDA64のパッチ更新に言及し、「知っている者には分かる」といった含みを持たせつつ、NDA遵守の重要性を強調した。特定の製品名には触れていないものの、同氏がこのような発信を行う背景には、Bartlett Lake-Sが既に検証段階にあり、MSIなど一部メーカーの内部で評価が進行中である可能性がある。

この発言が注目される理由は、Bartlett Lake-Sが本来はB2B向けに設計されたものであるにもかかわらず、MSIのようなPCエンスージアスト市場を牽引する企業と関係のある人物が関心を示している点にある。Intelが同チップを一般向けに転用する動きがあるのか、あるいは限定的ながらDIY市場にも供給される可能性があるのか、現時点では明言できない。

ただし、電力制限を抑えつつVmin Shift問題を回避した構成であるならば、特定の用途においては確かな需要が見込まれる。今後のリークやベンチマーク結果が、この噂の信憑性を検証する上で重要な手がかりとなるだろう。

Source:HotHardware