中国HONORは、8,000mAhの大容量バッテリーとSnapdragon 7 Gen 3を搭載した新型スマートフォン「HONOR Power」を発表した。厚さわずか8mm未満の筐体に高密度シリコンカーボン電池を収め、iPad Air(2025年)を上回る電力量29.60Whを実現。14時間のゲーム利用や最大25時間の動画再生も可能とされる。

6.78インチ・120Hz対応AMOLEDディスプレイやOIS付き50MPカメラを備えるほか、独自接続チップ「HONOR C1+」も搭載。中国市場での販売価格は1,999元からと競争力のある設定となっている。超広角カメラの性能仕様には課題も残るが、ポータブル性と電力持続性を両立させた点が注目される。

シリコンカーボン電池が実現した高密度設計と長時間駆動性能

HONOR Powerに搭載された8,000mAhバッテリーは、29.60Whという高出力を実現しながら、厚さ8mm未満の薄型ボディに収められている。これは、電池素材として高容量化を可能にするシリコンを多用し、821Wh/Lという極めて高い電力密度を達成したことによる成果である。比較対象として挙げられたiPad Air(2025年モデル)の28.93Whを上回ることからも、その設計水準の高さが際立つ。

この電池により、ゲームで14時間、ナビゲーションアプリや動画アプリでは20時間を超える連続使用が可能とされ、日常的な利用範囲では丸一日以上の稼働が見込まれる。従来の大容量スマートフォンでは、重量増や厚みの増加が避けられなかったが、今回の設計はポータブル性と電力維持の両立に一定の解を示したと言える。

耐久性や発熱特性など運用面の検証は今後の課題となるものの、シリコンカーボン電池の本格的な普及への一歩となる可能性を内包している。

ハードウェア構成と価格設定に見る戦略的ポジショニング

HONOR Powerは、Qualcomm Snapdragon 7 Gen 3を採用し、最大12GBのRAMと512GBのストレージ構成を提供することで、サブフラッグシップ帯において性能と価格の均衡を意識した設計を採っている。6.78インチのAMOLEDディスプレイは、120Hzのリフレッシュレートと最大4,000ニトの高輝度表示をサポートし、10ビットカラーやHDR表示にも対応。視覚体験においても競合製品を凌駕する仕様を備える。

中国市場での販売価格は最上位モデルでも2,499元(約19,200円)に設定されており、スペックと価格のバランスから見てもコストパフォーマンスを重視するユーザー層に訴求力を持つ構成となっている。

一方で、5メガピクセルに留まった超広角カメラや、66Wというかつての高速充電規格を用いた給電仕様など、一部においては他社フラッグシップ機と比較して抑制的な構成も見られる。これらの選択は、パフォーマンスよりも価格帯と持続時間を優先する利用者の行動特性を踏まえたものと考えられる。

Source:NoypiGeeks