Zotacは、Mini-ITXや省スペースPCの需要に応える形で、冷却ファンを1基のみに抑えたコンパクトなGeForce RTX 5060 Soloを発表した。

CUDAコア数は3,840基、GDDR7 8GBメモリを搭載し、ベースクロック2,280MHz、ブーストクロック2,497MHzで動作する見込みである。映像出力はDisplayPort 2.1bが3基、HDMI 2.1bが1基という構成となっており、メモリ帯域幅は448GB/sに達する。TDPは145Wで、電源は8ピンコネクタ1本に集約される。

この製品は5月に発売が見込まれており、同クラス製品が299ドルからとされる中、価格設定と冷却性能のバランスに注目が集まっている。特に単一ファンによる冷却効率に関しては、今後の検証結果が待たれる状況である。

単一ファン構成がもたらす冷却性能への懸念とその設計背景

Zotacが投入する「GeForce RTX 5060 Solo」は、冷却ファンを1基に制限した大胆な構造が特徴である。搭載されるGPUは、3,840基のCUDAコアを有し、ブースト時には最大2,497MHzに達する動作周波数を誇る。TDPは145Wと中庸な設計であり、補助電源も8ピン1系統に抑えられている点から、消費電力と発熱のバランスには一定の制御が施されていると見られる。

しかしながら、冷却ファンを1基とする構成がこのTDPに対して適切に機能するかどうかについては慎重な検証が求められる。筐体サイズを極限まで小型化した一方で、熱の滞留やエアフローの制限といった構造的課題は避けがたい。特に高負荷時におけるサーマルスロットリングやファン騒音の上昇といった副次的影響が発生する可能性も否定できない。

Zotacがこの設計を選択した背景には、Mini-ITXなどのSFF(Small Form Factor)志向の市場動向があると見られる。省スペース構成を求めるユーザーにとっては魅力的な選択肢となるが、性能維持と静音性との両立において、冷却機構の限界が製品評価を大きく左右する局面を迎えるだろう。

RTX 5060のメモリ構成とインターフェース仕様が示す中位機戦略

Zotac GeForce RTX 5060 Soloは、8GBのGDDR7メモリを搭載し、帯域幅は448GB/sとされている。これは従来のGDDR6構成と比較して転送速度において優位性を持つが、容量自体は上位機種の12GBあるいは16GB構成に対して控えめである。映像出力はDisplayPort 2.1bが3系統、HDMI 2.1bが1系統という構成で、最新の高解像度ディスプレイやマルチモニタ環境への対応力を維持している。

これらの仕様から見て取れるのは、本製品がハイエンドを狙うのではなく、あくまでも主力のミドルレンジ帯で安定的な需要を取り込む設計思想に立脚しているという点である。価格についてはZotacからの正式な発表はないものの、他社製RTX 5060の299ドルという想定価格帯から、手頃さと性能の均衡が重視されていることは明らかである。

一方で、8GBというメモリ容量が今後のゲームタイトルやAI処理などメモリ集約型アプリケーションに対してどこまで有効であるかは、評価の分かれる部分となる。競合他社が同価格帯でより大容量の構成を打ち出した場合、本製品の競争力には再考を迫られる可能性もある。選択肢としての魅力を維持するには、価格戦略と共に機能性の訴求が鍵となる。

Source:NotebookCheck