最新のグラフィックスカードであるNvidia RTX 50シリーズやAMD RX 90シリーズは、PCIe 5.0の帯域幅に対応しているが、これを最大限に活用する環境が整っていなくとも、その性能低下は極めて限定的であると複数の検証結果が示している。

PCIeは世代をまたいで下位互換性を維持しており、PCIe 3.0や4.0のマザーボードでも最新GPUの運用に大きな支障は生じない。実際、帯域幅による性能差は平均で1〜4%程度にとどまり、多くのゲームやアプリケーションにおいて実用上の差異はほぼ認識されない水準である。むしろPCIe 5.0の恩恵を受けるのはGPUよりもSSDであり、一般的な用途ではPCIe世代の違いを考慮する必要性は薄いとの見方が強い。

PCIe帯域幅の実性能への影響は極めて限定的

RTX 50シリーズやRX 90シリーズなど最新のGPUは、理論上はPCIe 5.0による高速な帯域幅を活用できる設計となっているが、実際にはPCIe 4.0や3.0スロットに装着しても体感上の性能低下は極小である。特にPCIe 3.0 x16環境であっても、最新世代GPUの平均フレームレートはPCIe 5.0環境と比べて1〜4%程度の差にとどまるという検証結果が複数存在する。

これは、現在のグラフィックス処理における帯域幅の要求が、PCIeの進化に追いついていないことを示唆している。多くのGPUはPCIe 4.0 x16すら使い切れておらず、ゲームやレンダリング用途では帯域の限界に達していないのが現状である。

また、AMD AM4プラットフォームやIntel第10世代以前のCPUでも、RTX 50やRX 90は正常に動作し、パフォーマンス面で致命的な差異は生じない。これにより、GPUの更新に際して必ずしもマザーボードの刷新が必要とはならず、システム全体のアップグレードコストを抑制できる可能性がある。PCIe世代の違いに過度に反応する必要はなく、実効的な性能差の冷静な評価が重要となる。

PCIe 5.0の本質的な用途はストレージ性能の向上

PCIe 5.0の実効性が顕著に現れるのはGPU領域ではなく、ストレージデバイスにおいてである。現行のGen5 SSDは理論上14,000MB/sのシーケンシャル読み書き性能を有し、これはGen4 SSDの約2倍に達する。

一方、GPUに関しては上述の通り、従来規格でも十分な帯域が確保されているため、PCIe 5.0による実質的な恩恵は限定的である。特に、データ転送速度がゲームの読み込みやアプリケーションの起動時間に直結するSSDでは、帯域の広さがより直接的に体感速度に寄与する構造となっている。

しかしながら、Gen5 SSDの導入はあらゆるユーザーにとって最適解とは言えない。現時点では価格帯が依然として高く、コストパフォーマンスの面ではGen4 SSDが依然として優位にある。

実際、多くのゲーム用途ではランダムアクセス性能が支配的であり、シーケンシャル性能の優位性は限定的であるため、PCIe 3.0や4.0のSSDでも十分対応可能である。PCIe 5.0対応ストレージは、大容量の映像データや科学演算などを扱うプロフェッショナル用途においてこそ本来の価値を発揮する構成といえる。

Source:XDA