AMDが新たに投入するミッドレンジGPU「Radeon RX 9060 XT」が、2025年5月下旬に発表され、6月初旬に市場に投入される可能性がある。リーク情報によれば、同モデルはComputex 2025期間中の公開が見込まれ、Navi 44 GPUと20GbpsのGDDR6メモリ(128ビットバス)を搭載し、8GBと16GBの2モデルが同時展開されるという。

競合であるNVIDIAのRTX 5060 Tiが供給難や製品評価の不透明さを抱える中、RX 9060 XTは消費電力を抑えつつ、特定条件下でRTX 4060 Tiおよび5060 Tiを上回る性能を示す可能性があるとされている。価格は8GBモデルが299ドル、16GBモデルが379ドルと予測されており、コスト対効果に優れる選択肢として注目される。

また、上位モデルとなるRX 9070 XTXの32GB版が同時期に登場するとの未確認情報もあり、AMDのラインナップ拡充が注目される。

RX 9060 XTはNavi 44搭載と8GB/16GB展開が有力視される構成

Radeon RX 9060 XTの中核には、AMDの次世代GPUアーキテクチャであるNavi 44が採用される見込みである。このGPUは、20GbpsのGDDR6メモリと128ビットのメモリバスを備え、TDPの目安となる推奨電源容量は500ワット程度とされる。

製品バリエーションは、8GBおよび16GBのVRAMを搭載した2種類が同時に市場投入される可能性が高く、特に16GBモデルはミッドレンジ帯におけるメモリ容量としては異例の構成である。

この2モデル展開により、ユーザーの使用目的や価格感度に応じた柔軟な選択肢を提供し得ると考えられる。8GB版は価格重視の構成となり、299ドルという水準であれば競合製品に対して明確な価格優位性を持つ。

一方、16GB版はハイエンド寄りの用途にも対応可能であり、将来的なゲームタイトルの高負荷処理にも一定の耐性を持つだろう。仕様から見て、Navi 44は消費電力を抑えながらも演算効率を高めた設計とされ、エントリー帯GPUとの差別化も明確である。

RTX 5060 Tiに対する競合軸とパフォーマンス予測の限界

RX 9060 XTの性能については、AI機能を用いない条件下において、GeForce RTX 4060 Tiを上回り、場合によってはRTX 5060 Tiにも匹敵するという見解が浮上している。

ただし、これらの評価はあくまで非公式な情報筋によるものであり、実機でのベンチマーク結果が示されているわけではない。そのため、パフォーマンスの優劣に関する断定は時期尚早であり、導入を検討するユーザーは公式レビューの公開を待つ姿勢が賢明である。

他方で、NVIDIA側のRTX 5060 Tiが8GB版のレビュー抑制や供給難といった不透明要素を抱えている点も指摘されており、AMDにとっては逆風の市場環境を突く好機となる可能性がある。

RX 9060 XTが300ドル前後という競争力ある価格帯で投入されれば、パフォーマンスの確定前であっても一定の注目を集める素地がある。一方で、AI処理性能に関してはBlackwellアーキテクチャを採用したNVIDIA製品に一日の長があると見られ、RX 9060 XTはあくまで純粋なゲーム性能重視の位置づけにとどまるだろう。

Source:NotebookCheck