NVIDIAは、RTX 5060 Tiの発売にあわせてGame Ready 576.02ドライバーを正式公開した。これにより、同GPUの安定動作に必要な基本対応だけでなく、DLSS 4 Multi Frame Generation(MFG)の対応タイトル追加やゲーム最適化機能の拡充が実現された。

また、過去に報告されていたDLSSフレーム生成やG-Sync有効時におけるクラッシュ、ブラックスクリーンなどの重大な安定性不具合についても修正が加えられている。さらに、19機種のG-Sync互換モニターの追加認証も実施されたことで、ゲーム体験の向上が見込まれる。特にRTX 50シリーズでは、ドライバー起因の不具合が長らく続いており、今回の更新が根本的な解決策となるか注目される。

RTX 5060 Tiの投入に伴うドライバー刷新とバグ修正の詳細

Game Ready 576.02 WHQLドライバーは、RTX 5060 Tiの正式対応を含む大規模な更新である。本ドライバーでは、新GPUに必要な初期対応に加え、DLSSフレーム生成とG-Syncを併用する環境下で報告されていたクラッシュ、ブラックスクリーン、認識不良といった致命的な問題に対し修正が施された。

これらの不具合は、RTX 5080および5090と共にリリースされたバージョン572.16以降のGeForceユーザーを中心に広がっていた。とりわけDLSS 4 Multi Frame Generationを利用する最新ゲームにおいては、安定性の欠如が体験価値に直結していたため、本更新の意義は極めて大きい。

加えて、DLSS 4 MFGへの対応タイトルとして『Black Myth: Wukong』『No More Room in Hell 2』が追加され、前者に関しては最大10倍のパフォーマンス向上もNVIDIAにより示唆されている。これらの機能強化と不具合修正の両立が、GeForceユーザーの環境改善をもたらす契機となるか注視されている。

ゲーム最適化とG-Sync対応拡充による戦略的アプローチ

576.02ドライバーでは、DLSS 4 MFG対応拡張に加え、6タイトルへの最適化プロファイルが新たに追加された。『Grand Theft Auto V Enhanced』や『The Last of Us Part 2 Remastered』など、既に成熟した人気作にも対応が広がっている点は、既存ユーザーへのサービス拡充とも読める。同時に、1,300本を超える最適化済みタイトルの存在は、他社GPUとの差別化を意識した継続的な戦略の一端と考えられる。

また、Acer、ASUS、LGなど主要ブランドの19機種が新たにG-Sync互換モニターとして認証されたことも、VRR環境の普及に拍車をかける動きといえる。

多様なディスプレイ環境での安定性と滑らかな描画体験は、DLSSやG-SyncといったNVIDIA独自技術の魅力を支える柱であり、これらを同時に拡充することは、ユーザーの囲い込みとプラットフォーム依存度の向上を狙った布石とも解釈できる。ただし、こうした展開が実効性を伴うかは、今後のユーザー検証と導入事例に委ねられる部分が大きい。

Source:Windows Central