2025年第1四半期、Appleが世界スマートフォン市場で初めてSamsungを上回り、シェア19%でトップに立った。例年はGalaxy Sシリーズの投入時期と重なり、Samsungが優位を保つが、今回はiPhone 16eの好調と新興市場での拡大が転機となった。
Counterpointによると、日本とインド市場での躍進が特に顕著であった。これに対しSamsungは18%で2位に後退。CanalysとIDCはAppleを2位としつつも、同社が過去最高のQ1出荷台数を記録したと指摘している。一部での関税対応や流通不安による在庫調整が背景にあるとの分析もある。また、One UI 7の不安定な展開がSamsungの足を引っ張った可能性も否定できない。
Appleがシェア19%で2025年Q1の頂点に立った背景

2025年第1四半期、Appleは世界スマートフォン市場で初めてSamsungを上回り、19%の市場シェアを記録してトップに立った。例年この時期はSamsungのGalaxy Sシリーズがリードするが、今回はiPhone 16eの成功が潮目を変えた。Counterpoint Researchのレポートでは、日本とインドにおける販売好調が明確に挙げられており、特に新興市場での価格戦略と流通拡大が功を奏したとされている。また、これまでハイエンドモデルに偏重していたAppleが、ミッドレンジ層へのアプローチを強めたことも、今回のシェア拡大に寄与した要因と考えられる。
このような構図はAppleにとって象徴的な転換点とも言え、季節要因を超えてグローバル市場での影響力を再定義する契機になり得る。一方、Samsungが18%と僅差で続いており、順位が入れ替わったとはいえ両社の競争が終わったわけではない。次の四半期での巻き返しも十分にあり得る中、Appleがこの流れを持続できるかが次なる注目点となる。
出荷台数は過去最高も評価に揺れ 異なる分析結果の意味
Appleの2025年Q1における出荷台数は過去最高を記録したとIDCが報告している。背景には米国市場での関税対策による在庫の積み増しがあり、加えて世界的な物流不安を見越した流通パートナーによる先行調達も影響した可能性がある。一方で、CanalysやIDCはAppleを2位と位置づけ、Samsungが首位を維持しているとの見方も提示されており、調査会社ごとの手法の違いが市場認識にズレを生んでいる状況だ。
こうした差異は単なる数字の読み取りだけでなく、各社が重視する出荷タイミングや販路、流通範囲の定義に起因している。特にAppleの成績は、販売実績というよりも流通上の「出荷」に基づいたものであるため、市場に届いた端末の数と、実際に消費者の手に渡った数には乖離があるかもしれない。したがって、数値に一喜一憂するのではなく、各社が採る戦略の持続性に目を向ける必要がある。
Samsungの出遅れを招いた要因と今後の懸念点
Samsungは2025年Q1で18%のシェアとなり、Appleに首位の座を明け渡す結果となった。Galaxy S25シリーズや新Aシリーズは3月にかけて販売が持ち直したものの、年初の勢い不足が響いた格好だ。特に、One UI 7の不安定な展開が市場評価に影響を及ぼした可能性は拭えない。新機能の完成度や配信スケジュールの面でユーザーに不満が広がり、ブランド信頼の低下を招いた恐れがある。
このようなソフトウェア面での失策は、端末のスペックやハードウェア戦略だけではカバーしきれない影響をもたらす。Androidの競合が増える中で、OSの安定性と使い勝手は差別化の重要な軸となっており、そこに陰りが出たことはSamsungにとって大きな課題である。また、新興国市場での競争力の低下も長期的なシェア維持に向けた不安材料となる。次の四半期でどこまで信頼を回復できるかが、今後の趨勢を大きく左右しそうだ。
Source:Android Authority