Samsungは、One UI 7で新たに「Samsung Auto」という独自の車載モードを導入した。従来のAndroid Autoと似たUIで、ナビや音楽再生、通話機能を大画面で利用できるが、一般的な車載ディスプレイとは異なり、Galaxyタブレットがディスプレイとして機能する構造となっている。
この機能はGalaxyスマートフォンとGalaxyタブレットを無線接続し、タブレット上に専用UIを表示するという仕組みで、対象はOne UI 7を搭載した一部のフラッグシップ機種に限られている。あくまでGalaxy製品間での連携に特化したものであり、従来の車載システムを置き換えるものではない点に注意が必要だ。
エコシステム強化を狙ったSamsungの新戦略としては興味深いが、対応機器や使用条件に制限があるため、一般的な車載用途を期待していた層には期待外れと映る可能性もある。
Galaxyタブレットが車載ディスプレイに変身する仕組みと要件

Samsung Autoは、One UI 7で導入された新機能であり、Galaxyスマートフォンとタブレットの連携を通じて車載向けの専用インターフェースを実現している。一般的なAndroid Autoが車載ディスプレイを前提としているのに対し、Samsung AutoはGalaxyタブレットそのものを車載ディスプレイとして活用する点が大きな特徴だ。このため、利用には互換性のあるGalaxyスマートフォンとタブレットの両方が必要であり、タブレット側が車載モニターの役割を果たす。
インターフェースは運転中の視認性と操作性を重視しており、大きなボタンやシンプルなUIが採用されている。BluetoothまたはWi-Fiを介した接続により、スマートフォンのナビゲーションや音楽アプリ、通話機能などがタブレットにミラーリングされ、タブレット上に車載向けモードとして表示される仕組みだ。Samsungはこの体験をGalaxyエコシステムの延長線上にあると位置づけており、同社のモバイル製品同士の連携強化に力を入れている様子がうかがえる。
一方で、対象機種はGalaxy S25シリーズやGalaxy Tab S10シリーズなど最新世代に限定されており、すべてのユーザーがすぐに使えるわけではない。また、車に標準搭載されているAndroid Autoとは異なり、車両そのものとの連携機能は持たないため、利用シーンはある程度限定される。こうした条件を踏まえると、あくまでもSamsungデバイス同士で閉じた用途に最適化された新提案という位置付けとなる。
Android Autoとの差別化がもたらす体験と期待とのギャップ
Samsung Autoはその名称から一見するとAndroid Autoの代替となり得るように感じられるが、実際にはまったく異なるアプローチをとっている点が重要である。Android AutoはGoogleの標準技術として、多くの車載システムに統合されてきた実績があるのに対し、Samsung Autoは車に依存せず、Galaxyタブレットを車載用モニターとして使うという独自路線を採っている。
この違いは、利便性の面では一長一短である。Samsung Autoは、車に特別な対応が必要なくGalaxyデバイスのみで完結できる点で柔軟性があるが、同時に、車両のナビシステムや音響設備と直接連携できないという制約もある。また、すでにAndroid Autoに慣れた層にとっては、Samsung Autoの存在がむしろ混乱のもととなる可能性もある。車載ディスプレイに接続できるわけではないという事実が、導入時の期待値との間にズレを生む原因になりかねない。
とはいえ、Samsungがこの機能を導入した背景には、Galaxy製品間での一貫した体験を重視する姿勢がある。たとえば、タブレットの大画面を活かしつつもスマートフォンの機能にアクセスできるという点では、日常使いでも親和性が高い。今後、ユーザーの利用実態に合わせた機能追加やUI改善が進めば、一定の評価を得る余地は残されている。ただし、現時点ではあくまで「既存ユーザーの囲い込み」に向けた一歩としての位置付けに留まる印象が強い。
Source:Sammy Fans