Xiaomiが自社製SoCの開発を加速させるべく、新たなカスタムチップ専任チームを設立した。指揮を執るのは、Qualcommでシニアディレクターを務めた秦牧雲氏であり、CEO雷軍氏に直接報告する体制が整っているという。ITHomeの報道によれば、Xiaomiはすでに3nmプロセスでの設計を完了させたとの情報もあり、量産体制へ向けた準備が進行中と見られる。
価格高騰が続く既存のチップ供給網からの脱却を目指し、まずは4nmプロセスのSoCを投入することで、段階的に技術と経験の蓄積を図る構えだ。ARM設計を活用しつつも、将来的な独自アーキテクチャへの布石とも言える動きが注目される。
元Qualcomm幹部が指揮する新チームが3nm設計まで到達、SoC開発が本格始動

Xiaomiが新たに設立したチップ開発部門は、元Qualcommシニアディレクターの秦牧雲氏をリーダーに迎え、雷軍CEOへの直報体制で運営されている。このチームはすでに3nmプロセスによるSoC設計(テープアウト)に成功しており、次なるステップとして量産化に向けた準備が進んでいる。これまでのXiaomiは、Surge S1などで部分的なチップ内製の実績を持っていたが、今回はSoCそのもののコア開発に焦点を当てている点で異なる。
秦氏の経歴を考慮すれば、Qualcommで培った設計と製造プロセスの知見が今回のプロジェクトにも色濃く反映されるとみられる。3nmプロセスの設計が完了しているとはいえ、歩留まりや熱設計、パフォーマンスバランスといった実装面には依然として高いハードルが残る。とはいえ、スマートフォンの競争力を維持するには、自社で性能とコストをコントロール可能なチップ開発が重要な鍵となる。
Snapdragon 8 Gen 1相当の性能へ、まずは4nmプロセスで設計力を強化
ITHomeの報道では、Xiaomiが2025年前半にも4nmプロセスのSoCを投入するとの見通しが語られており、その性能はSnapdragon 8 Gen 1に匹敵する水準とされている。このチップはARMの既存設計を採用する予定であり、CPUコア自体は独自開発ではないものの、プロセスやパッケージング、電力効率の最適化といった周辺技術の成熟が狙いと考えられる。つまり、自社設計の完全なチップ量産にはまだ距離があるが、今回の4nm SoCは実戦形式での設計ノウハウ習得に資する重要なステップといえる。
過去のSurge S1が28nmという旧世代プロセスでの実装だったのに対し、今回は一気に先端プロセスへとジャンプしている点も見逃せない。コストの観点では大量生産には向かない可能性があるが、開発投資の一部として設計と製造の接続性を検証する段階と捉えるのが妥当だろう。短期的な商業的成果を求めるというより、将来の3nm完全自社開発に向けた布石と見るべきである。
Source:Wccftech