編集部
“デジタル化が進む現代社会において、パネル・ディスプレイは私たちの生活のあらゆる面で重要な役割を果たしています。スマートフォン、テレビ、パソコン、車載ディスプレイと、その用途はますます多様化しています。市場の競争は激しく、各企業は最新の技術を駆使してより優れた製品を生み出し、利益を追求しています。今回、私たちはその中でも全世界のトップ企業76社を選出し、「2023年最新版：世界のパネル・ディスプレイ会社ランキング時価総額TOP 76」を作成しました。
世界のパネル・ディスプレイ会社ランキング：時価総額TOP100
下記の世界のパネル・ディスプレイ社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。
このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。
・地域の分布：このランキングに含まれる企業の大部分はアジアに位置しています。特に、多数の企業が中国と台湾に本拠を置いています。アメリカ、日本、ドイツなどの他の国もランキングに存在しますが、その数は比較的少ないです。
・中国のリーダーシップ：時価総額に基づくと、中国の企業がこのリストで非常に強い地位を占めています。特にBOE Technology Group Co LtdとTCL Technology Group Corpは1位と2位にランクされており、大きなギャップを持って他の企業をリードしています。
・企業の規模：時価総額に基づくと、企業の規模には大きな差が見られます。リストのトップ（BOE Technology Group Co Ltd）の時価総額は、リストの底部（Equipments Cell Co Ltdなど）の企業と比較して大きな違いがあります。
・異なる市場：このリストは、各企業が自身の地域市場でどの程度成功しているかを示しています。それぞれの市場が異なるため、一部の企業は自国での成長に焦点を当て、他の一部はグローバルな成長を目指しているかもしれません。
この分析から、アジア市場（特に中国と台湾）がこのセクターの主要なプレーヤーを生み出していることが明らかです。同時に、このリストにはグローバルに活動している企業も含まれており、各企業が自身の地域市場でどの程度成功しているかを反映しています。
以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。
1位：BOE Technology Group Co Ltd (中国)
BOEは、ディスプレイテクノロジーおよびスマートシステムのリーダーであり、高度なディスプレイ製品、モバイルデバイス、テレビ、パソコンなどの幅広い製品群を提供しています。また、デジタルアート、医療健康、IoTといった先端分野でも事業展開を行っています。BOEは、高品質なディスプレイ技術を提供し、世界中の多くの製品にそのディスプレイが使用されています。また、多岐にわたる産業への事業展開と持続的な研究開発への投資により、業界内での競争力を保つことができています。
2位：TCL Technology Group Corp (中国)
TCLは、エレクトロニクスとホームアプライアンスの製造を中心に事業を展開しています。特に、テレビの製造で名高く、高品質ながらも比較的手頃な価格を実現しています。TCLは、広範で高品質な製品群と、グローバルなマーケットでの強固なブランド力を有しています。その高い生産能力と効率性は、高い市場評価を得ています。
3位：E Ink Holdings Inc (台湾)
E Ink Holdingsは、電子ペーパーディスプレイ（EPD）技術のパイオニアであり、多くの電子ブックリーダーで使われています。同社の電子インク技術は、省エネルギーでありながら高解像度の画像を提供します。同社の電子ペーパーディスプレイ技術は、その省エネルギー性と視認性の高さから、電子ブックリーダーなどのデバイスで広く採用されています。また、新しいアプリケーションへの展開も進めており、市場における地位を維持しています。
4位：LG Display Co Ltd (大韓民国)
LG Displayは、大韓民国の大手電子製品メーカーであり、液晶ディスプレイ（LCD）や有機EL（OLED）パネルの生産を行っています。LG Displayは、高品質なLCDとOLEDディスプレイの生産で高い評価を得ています。特にOLED技術については、優れた色再現性や高コントラスト比といった特性から、高級テレビやスマートフォンに広く採用されています。
5位：Innolux Corporation (台湾)
Innoluxは、液晶ディスプレイパネルやタッチパネルの製造を行う台湾の大手ディスプレイメーカーです。Innoluxは、モニター、テレビ、タブレット、車載ディスプレイなど、多様な用途に対応した製品群を提供しています。また、品質と生産効率の向上に向けた持続的な投資と研究開発により、競争力を維持しています。
【世界のパネル・ディスプレイ会社ランキング：時価総額TOP76リスト】
※対象となるパネル・ディスプレイ会社として「上場企業」かつ「パネル・ディスプレイ業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点（2023年6月14日）の株価および為替レートで算出
| ランキング | 企業名 | 所在国 | 決算期 (決算期) | 時価総額（億円） |
| 1 | BOE Technology Group Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 29,101 |
| 2 | TCL Technology Group Corp | 中国 | 2022/12 | 13,953 |
| 3 | E Ink Holdings Inc | 台湾 | 2022/12 | 11,186 |
| 4 | LG Display Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 6,115 |
| 5 | Innolux Corporation | 台湾 | 2022/12 | 6,041 |
| 6 | AUO Corporation | 台湾 | 2022/12 | 6,034 |
| 7 | シャープ | 日本 | 2023/03 | 5,320 |
| 8 | Tianma Micro-electronics Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 4,378 |
| 9 | Shenzhen KTC Technology Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 3,828 |
| 10 | Helios Technologies Inc | アメリカ | 2022/12 | 2,703 |
| 11 | Radiant Opto-Electronics Corp. | 台湾 | 2022/12 | 2,492 |
| 12 | LianChuang Electronic Technology Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,960 |
| 13 | Visionox Technology Inc | 中国 | 2022/12 | 1,866 |
| 14 | TPV Technology Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,778 |
| 15 | Wonik Ips Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 1,623 |
| 16 | Hannstar Display Corp. | 台湾 | 2022/12 | 1,618 |
| 17 | ジャパンディスプレイ | 日本 | 2023/03 | 1,552 |
| 18 | Jiangxi Firstar Panel Technology Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,309 |
| 19 | Coretronic Corp | 台湾 | 2022/12 | 1,242 |
| 20 | General Interface Solution (GIS) Holding | 台湾 | 2022/12 | 1,092 |
| 21 | Guangdong Goworld Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 952 |
| 22 | CPT Technology Group Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 943 |
| 23 | WG Tech (Jiang Xi) Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 869 |
| 24 | TPK Holding Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 751 |
| 25 | Shenzhen Zhongheng Huafa Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 588 |
| 26 | Yes Optoelectronics (Group) Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 524 |
| 27 | Truly International Holdings Ltd | 香港 | 2022/12 | 468 |
| 28 | Yeebo (International Holdings) Ltd | 香港 | 2022/03 | 435 |
| 29 | TROOPS Inc | 香港 | 2022/12 | 430 |
| 30 | Shenzhen Liantronics Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 398 |
| 31 | CHEMTRONICS Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 371 |
| 32 | Winmate Inc. | 台湾 | 2022/12 | 354 |
| 33 | HannsTouch Solution Incorporated | 台湾 | 2022/12 | 344 |
| 34 | Shenzhen Success Electronics Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 342 |
| 35 | Data Modul AG | ドイツ | 2021/12 | 283 |
| 36 | Giantplus Technology Co., Ltd. | 台湾 | 2022/12 | 275 |
| 37 | Synopex Inc | 大韓民国 | 2022/12 | 252 |
| 38 | Emerging Display Technologies Corp. | 台湾 | 2022/12 | 235 |
| 39 | Data Image Corp | 台湾 | 2022/12 | 227 |
| 40 | Young Fast Optoelectronics Co., Ltd. | 台湾 | 2022/12 | 226 |
| 41 | YEST Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 223 |
| 42 | Irico Group New Energy Co Ltd | 中国 | 2021/12 | 222 |
| 43 | TOVIS Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 208 |
| 44 | Jean Co., Ltd. | 台湾 | 2022/12 | 206 |
| 45 | Ampire Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 195 |
| 46 | Vidente Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 193 |
| 47 | eGalax-eMIPIA Technology Inc | 台湾 | 2022/12 | 184 |
| 48 | Kortek Corp | 大韓民国 | 2022/12 | 139 |
| 49 | RiTdisplay Corporation | 台湾 | 2022/12 | 130 |
| 50 | China Display Optoelectronics Technology Holdings Ltd | 中国 | 2022/12 | 128 |
| 51 | Powertip Tech Corp | 台湾 | 2022/12 | 124 |
| 52 | Finemat Applied Materials Co., Ltd. | 台湾 | 2022/12 | 108 |
| 53 | Diva Laboratories Ltd | 台湾 | 2022/12 | 104 |
| 54 | United Radiant Technology Corp | 台湾 | 2022/12 | 101 |
| 55 | Inzi Display Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 97 |
| 56 | WiseChip Semiconductor Inc | 台湾 | 2022/12 | 90 |
| 57 | Litemax Electronics Inc | 台湾 | 2022/12 | 85 |
| 58 | Iljin Display Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 76 |
| 59 | YoungWoo DSP Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 63 |
| 60 | AimCore technology Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 62 |
| 61 | Finetek Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 54 |
| 62 | HIGGSTEC Inc | 台湾 | 2022/12 | 52 |
| 63 | Kuangli Bio-Tech Holdings Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 51 |
| 64 | Lakshmi Electrical Control Systems Ltd | インド | 2023/03 | 48 |
| 65 | Arlitech Electronic Corp | 台湾 | 2022/12 | 47 |
| 66 | Easy Field Corp | 台湾 | 2022/12 | 40 |
| 67 | Mutto Optronics Corp | 台湾 | 2022/12 | 39 |
| 68 | Green World Hotels Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 38 |
| 69 | Microtips Technology Inc | 台湾 | 2022/12 | 37 |
| 70 | Perfect Optronics Ltd | 香港 | 2022/12 | 37 |
| 71 | Soaring Technology Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 27 |
| 72 | Poindus Systems Corp | 台湾 | 2022/12 | 25 |
| 73 | Taiwan Thick-Film Ind Corp | 台湾 | 2022/12 | 22 |
| 74 | Transtouch Technology Inc | 台湾 | 2022/12 | 21 |
| 75 | Chi Cheng Enterprise Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 10 |
| 76 | Equipments Cell Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 10 |
出典：各社プレスリリースなど
世界のパネル・ディスプレイ会社ランキングの有用性
・業界動向の理解: ランキングは、特定の業界内でどの企業が最も成功しているかを示すための簡単な方法です。これにより、市場トレンドや業界のダイナミクス、主要な競争企業を理解することができます。
・投資判断の補助: ランキングは投資家にとって価値ある情報を提供します。市場で優位に立っている企業は、一般的に収益性が高く、安定した成長が見込まれるため、投資の観点から見て魅力的なターゲットとなります。
・B2B取引の指標: 企業が新たなパートナーシップを結ぶ際や製品・サービスの供給元を探す際、ランキングは重要な参考指標となります。高いランキングを持つ企業は通常、高品質の製品やサービス、信頼性、そして業界における影響力を持つとみなされます。
・企業の評価と目標設定: 企業自身が自己評価を行う際、ランキングは重要な指標となります。ランキング上位の企業と自社の位置を比較し、競争力を評価したり、目標を設定したりすることができます。
・技術の進歩とイノベーションの推進: ランキングは、特定の業界における技術的な進歩やイノベーションを推進する役割を果たします。ランキング上位を目指すことで、企業は新しい技術やサービスの開発に力を入れ、業界全体の進歩を促します。
以上のような理由から、パネル・ディスプレイ会社のランキングは、多くのステークホルダーにとって有用な情報を提供します。
世界のパネル・ディスプレイ会社ランキング：変化を与える要素
世界のパネル・ディスプレイ会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。
技術革新:
テクノロジー業界では、新たな技術革新が企業の競争力を大きく左右します。例えば、OLED、Micro-LEDなどの新技術が開発された場合、それをうまく取り入れた企業はランキングを上げる可能性があります。
市場需要の変化:
マーケットの需要が変化すると、それに応じて企業の収益性も変わります。例えば、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスの需要が増えれば、これらのデバイスにパネルを供給する企業が優位に立つ可能性があります。
生産能力と供給チェーン管理:
企業の生産能力や供給チェーンの管理能力も、ランキングに大きく影響を与えます。生産効率を高め、安定した品質を維持することができる企業は、顧客からの信頼を得やすく、その結果、ビジネスの成長とランキングの向上につながります。
企業戦略:
企業の戦略的な決定もランキングに影響を与えます。例えば、新規市場への進出、合併・買収、新製品の開発などは、企業の規模や市場シェアを増やし、ランキングを上げる可能性があります。
経済・政治環境:
マクロ経済の動向や政治的な状況も企業のパフォーマンスに影響を与えます。例えば、貿易紛争や新型ウイルスの影響で供給チェーンが混乱した場合、その影響を最小限に抑えることができた企業は、ランキングを上げる可能性があります。
これらの要素は全て相互に関連しており、一つの変化が他の要素に影響を及ぼす可能性があります。したがって、これらの要素を総合的に把握し、柔軟に対応することが企業の成功につながります。
まとめ
パネル・ディスプレイ業界は技術革新が日進月歩で進んでおり、市場ニーズも常に変化しています。この競争激化の中で、各企業はそれぞれの戦略を立て、生産能力を高め、新たな市場に進出するなどしてランキング上位を維持しようと努力しています。そして、これら全てが相互に影響し合い、ランキングの変動をもたらします。
今回のランキング「2023年最新版：世界のパネル・ディスプレイ会社ランキング時価総額TOP 76」は、そうした業界のダイナミックスを表しています。しかし、経済・政治的な状況や未来の技術革新など、予測不能な要素により、このランキングはすぐに変わる可能性もあります。だからこそ、我々は常に最新の情報を得て、業界の動きを見守り続けることが重要です。それこそが、私たちが今後もこの素晴らしいデジタル世界を理解し、最大限に活用するための鍵となります。