Appleの次期フラッグシップとされるiPhone 17 Pro Maxのコンセプトビデオが公開された。デザイン面ではリーク情報に準じたフラットフレームやDynamic Island、小型化されたベゼルなど現実味のある構成が特徴だ。一方で、Touch IDの復活や45W急速充電、5,000mAhバッテリーなど、Appleの現行方針と乖離する要素も含まれており、実現性には疑問が残る。
この映像を制作した4RMDは、AI機能や12GB RAM、Apple A19 Proチップなどの進化を加えた理想的な姿も提示するが、あくまで未来への期待と見るべきである。プロダクト開発の現実との距離感が、ユーザーの夢と現実を浮き彫りにしている。
現実路線のデザインと最新リークに沿う外観

iPhone 17 Pro Maxのコンセプトビデオは、Apple製品のデザイン言語を忠実に踏襲している。フラットなフレームと薄型ベゼル、さらには引き続き搭載されるDynamic Islandなど、過去のリークと整合する構成が特徴的である。
背面にはカメラバーが新たに設けられ、配置自体は前モデルに近いものの、存在感を強めた外観が印象的だ。このようなビジュアルは、ユーザーの期待と実際の製品仕様のギャップを最小化し、現実的な期待形成を促す効果を持つ。
映像を手掛けた4RMDは、これまでの実績から見ても視覚的な再現性に定評があり、その点で今回のビデオも現行のApple設計思想を反映している。Appleは大きなデザインの刷新を避け、熟成された形状の中で微細な改良を重ねる傾向が強い。
ゆえに、今回提示されたフラットな金属フレームやガラスとアルミの素材構成は、2025年秋の実機発表を想定する上でも有力な参考材料となり得る。技術的な飛躍よりも完成度の追求というAppleの設計哲学が透けて見える構成である。
理想を映す仕様は技術的・戦略的観点から実現性に乏しい
今回の映像で盛り込まれた機能の中には、Appleの現状と乖離する内容も目立つ。たとえば、カメラボタンへのTouch IDの統合は、セキュリティ面では魅力的である一方、Face IDを主軸とするAppleの設計思想とは相容れない。
現行iPhoneシリーズでは、Touch IDは復活の兆しすら見せておらず、サイドボタンやカメラユニットへの組み込みはコストやスペースの制約からも難しい。さらに、45Wの有線急速充電や5,000mAhの大容量バッテリーも、Appleが重視する筐体の薄型化や発熱管理と対立する仕様である。
また、リバースワイヤレス充電や50倍のデジタルズーム、12GBのRAMといった構成は、Android市場の競合機種との差異化に長けた設計思想ではあるが、Appleが採用するにはハードウェア・ソフトウェアの最適化という前提を大きく逸脱する。
Appleは、スペック競争に加わるのではなく、統合的なユーザー体験を重視して製品開発を進めているため、こうした“夢の仕様”は映像表現の域を出ない。現実には、熱設計やバッテリー寿命、製造コストとのバランスが優先されることになるだろう。
Source:Android Headlines