米国の対中関税に揺れるAppleが、iPhoneの追加生産でSamsung Displayに大口発注をかける可能性が浮上している。トランプ大統領の関税政策によってスマートフォンは免除対象となったものの、Appleは将来的なリスクを見越して2025年第2四半期のiPhone生産目標を15%引き上げた。

これにより、有機ELパネルの最大供給元であるSamsung Displayの受注が増加し、同社にとっては収益拡大の好機となるかもしれない。AppleはSamsung Displayの収益の4割以上を占める主要顧客とされており、今回の動きが部品サプライチェーン全体に波及する可能性もある。

Appleが第2四半期のiPhone生産目標を15%引き上げ サプライチェーンに波紋

Appleは2025年第2四半期におけるiPhoneの生産目標を15%引き上げたとされ、この決定が複数の部品サプライヤーに影響を与える可能性が高い。とりわけ注目されているのがSamsung Displayの動向だ。SamsungはAppleのiPhone向けディスプレイの最大供給元であり、一部のアナリストはSamsung Displayの売上のうち40%以上がApple向けであると分析している。このためAppleの増産方針が明らかになったことで、Samsung Displayは供給量の増加と収益拡大のチャンスを手にするかもしれない。

背景には、トランプ前大統領が復帰後に推し進めた関税政策がある。スマートフォンは対象外となったが、Appleは依然として政策リスクを警戒し、関税発効を前提とした輸送や生産の前倒しに動いている。その一環として、供給網の強化や部品確保が進められており、結果として韓国メーカーを含むパートナー企業に新たな受注機会が生まれている。部品の確保競争が激化する中、ディスプレイ需要の集中は今後の価格や供給の安定性にも影響する可能性がある。

Samsung Displayにとっての追い風 Apple依存のリスクと恩恵の両面

Samsung Displayにとって、Appleの増産は売上向上の好機である一方、Appleへの依存度の高さが改めて浮き彫りになっている。報道によれば、同社のディスプレイ事業における収益の40%以上がApple向けとされるが、これは事業の大きな柱が1社に偏っていることを意味する。このような構造は短期的には追い風となるものの、長期的にはリスクにもつながりかねない。Appleが調達戦略を見直した場合や他の供給元を優先するような動きが出れば、Samsung側にとって打撃となる可能性がある。

一方で、Appleが今回のように生産目標を引き上げる局面では、Samsung Displayが他社を大きくリードしていることで即時の供給対応が可能になる強みもある。有機EL市場における技術的優位性や生産能力の高さが評価されており、こうした信頼関係が再確認される場面とも言える。短期的な商機にとどまらず、Samsung DisplayがさらにAppleとの関係を強固にしていくには、品質と供給安定性を維持しながら依存度の適切なバランスも模索していく必要がある。

Source:Android Headlines