サムスンは5月8日に発売予定のGalaxy XCover7 Proと、6月初旬に登場するタブレットGalaxy Tab Active 5 Proを発表した。どちらも建設や医療現場など過酷な環境を想定して開発され、軍用規格MIL-STD-810Hに準拠。1.5メートルの落下耐性や手袋着用時の操作対応、AI機能搭載、7~8年の長期サポートも備える。
特にXCover7 Proは、Galaxy Aシリーズより高性能でありながらSシリーズより手頃な中間モデルとして位置付けられ、強化スピーカーや視認性を高めるVision Boosterなど実用機能を充実。米国政府が電子機器に対する新関税を一部免除した直後の発表となり、価格未定ながら企業や専門職層を中心に注目を集める可能性がある。
サムスンが示す耐久志向の進化 XCover7 ProとTab Active 5 Proの特徴とは

Galaxy XCover7 ProとGalaxy Tab Active 5 Proは、2022年発売のXCover6 Proの後継機として登場し、耐久性を中心に設計された点が際立つ。両製品はMIL-STD-810Hの米軍規格に準拠し、1.5メートルの高さからの落下に耐える設計となっている。
加えて、手袋を着けた状態でも操作できる2mm厚対応のタッチパネルや、直射日光下でも視認性を確保するVision Boosterが搭載されている。これらは屋外作業や医療現場など、特殊な環境における使用を想定した機能群である。
さらに、XCover7 ProはGalaxy Aシリーズより上位でありながらSシリーズより手頃な価格帯と位置付けられ、企業ユーザーを中心としたターゲット層への訴求力を高めている。音声通話においてもノイズ低減機能付きの強化スピーカーが導入され、環境音の多い場所での使用に対応。
Android 15の搭載に加え、7年間のセキュリティアップデート保証が明示されたことで、長期運用を前提とした設計思想も明確に打ち出されている。こうした仕様は、性能やデザイン性よりも実用性と耐久性を重視する市場ニーズを的確に捉えたものといえる。デバイスのサイクルが長期化する中で、サポート年数の長さと堅牢性の高さが新たな購買基準となる兆しも見えつつある。
関税措置と発表時期の巧妙な連動 企業向けモバイル市場の先を読む
今回の発表は、ドナルド・トランプ政権による対中関税措置のなか、米政府がスマートフォンやラップトップなど消費者向け電子機器を関税対象から除外したタイミングに合わせて行われた。この時期の発表は偶然とは考えにくく、サムスンが企業向け市場での価格競争力を意識して戦略的に発信した可能性がある。
今後の販売価格は未発表であるが、関税回避によって導入コストの抑制が見込まれ、多くの企業が導入に踏み切る環境が整ったといえる。また、両モデルが共にAI機能を搭載し、OS・セキュリティの長期サポートを保証している点は、IT資産管理やTCO(Total Cost of Ownership)の観点から企業の導入判断を後押しする。
堅牢性に優れたデバイスは、現場の破損リスクを下げ、代替費用や作業中断のリスクも軽減するため、全体的な業務効率の向上に資する要素を持つ。今後、建設、製造、物流、医療などの分野では、スマートデバイスへのニーズが単なるスペック競争から、運用効率や耐久性、サポート体制を重視する方向へとシフトしていく可能性がある。
その中で、サムスンの今回の戦略は、価格以外の価値を訴求する上での新たな基準を提示したと捉えるべきであろう。
Source:CNET