AMDは、RDNA 4アーキテクチャを採用した新型GPU「Radeon RX 9060 XT」を2025年5月20日開幕のComputexで発表する可能性が高まっている。信頼性の高い情報源によれば、8GBと16GBの2モデル構成が計画されており、GDDR6メモリを引き続き採用する見通しである。発売は6月初旬とされ、NVIDIAのRTX 5060シリーズに1か月遅れて市場に投入されることになる。
メモリ帯域幅320GB/sやブーストクロック3.23GHzなどの予測スペックは、前世代比で大幅な性能向上を示唆する。競合するIntelのArc B580が評価を高めている現状を踏まえ、AMDの価格設定次第では強力な競争力を持ち得るが、関税や市場の不確実性がその成否を左右する可能性もある。
Radeon RX 9060 XTの予測仕様とパフォーマンスの焦点

Radeon RX 9060 XTは、RDNA 4アーキテクチャを採用し、Navi 44 XT GPUをベースとする次世代GPUとして位置付けられている。予測されている仕様としては、2,048基のストリームプロセッサ、メモリクロック20Gbps、128ビットのメモリバス、320GB/sの帯域幅が挙げられており、前世代であるRX 7600 XTの構成を明確に上回る設計となっている。
さらに、ゲームクロックは2.62GHz、ブーストクロックは3.23GHzに達する見込みで、RDNA 3ベースのモデルから大幅なクロック向上が期待されている。
こうした数値が実現されれば、RX 9060 XTは1440p解像度において現在のミドルレンジ帯GPUに対し、性能優位を確保できる可能性がある。
ただし、TDPに関しては500W以上の電源ユニットが必要とされており、一部モデルでは550Wに達するという予測も存在するため、電力効率とのバランスが課題となる。これにより、単なる性能比較ではなく、電源設計や冷却面でも慎重な製品選定が求められる局面が増えると見られる。
競合製品とのメモリ戦略と価格設定の比較分析
AMDはRX 9060 XTを8GBおよび16GBのVRAM構成で展開する計画であり、GDDR7への移行は見送り、GDDR6メモリを継続採用する見込みである。
対照的に、NVIDIAはRTX 5060 Tiで16GBモデルを429ドル、8GBモデルを379ドルで投入しており、明確に価格帯と容量で棲み分けを図っている。加えて、IntelのArc B580は12GBで250ドル、B570は10GBで220ドルという価格競争力を打ち出しており、性能評価も高く、ユーザーからの支持を拡大しつつある。
この市場状況を踏まえると、AMDは9060 XTにおいて単なるVRAM容量の多寡以上に、価格と性能の均衡によるポジショニングが求められる。特に、NVIDIA製GPUが8GBモデルにおいて不評を受けた経緯を考慮すれば、AMDが8GB構成で同様の戦略を取る場合には、価格面での説得力が不可欠となる。一方、16GBモデルでは競合製品と並ぶ容量を提供できるが、MSRPが適正でなければその優位性は希薄化する恐れがある。
発売時期と市場投入のタイミングが与える影響
Radeon RX 9060 XTは、2025年5月20日に開幕するComputexで発表され、その2週間後、すなわち6月上旬に発売される可能性が高いと報じられている。
これはNVIDIAのRTX 5060 Tiからは約2か月遅れ、RTX 5060の想定発売時期からは1か月程度の差である。このタイミングは、先行して評価が定着しつつあるNVIDIA製品群との比較が進む中での登場となるため、マーケットにおけるインパクトは価格や性能だけでなく、製品露出の仕方にも左右される。
加えて、国際的な関税政策やロジスティクス上の不確実性が継続しており、米国市場でのMSRPがそのまま他地域に反映されるとは限らない点も重要である。これにより、価格競争力が地域によって変動し、導入初期における市場の反応にも影響を及ぼす可能性がある。AMDとしては、販売タイミングだけでなく、初動の流通戦略および販促施策によって、競争優位を築けるか否かが左右される局面に立たされている。
Source:Windows Central