NVIDIAがリリースしたGeForceドライバー「576.02」は、RTX 50シリーズにおける深刻な不具合の修正に加え、複数のベンチマークおよびゲーム環境において最大7.5%の性能向上を実現したと報告されている。特にRTX 5080では、「3DMark Steel Nomad」や『Marvel Rivals』といった実環境テストにおいて顕著なフレームレートの改善が確認された。
一方で、アイドル時の消費電力も劇的に改善されており、RTX 5070は22 MHz動作、RTX 5060 Tiは7W動作まで低減。これにより、電力効率の面でも大幅な最適化が図られた。Reddit上ではRTX 40シリーズにおいても軽微な向上が見られたという報告があるが、全体的な効果はRTX 50シリーズに集中している。
性能向上の背景には、従来のドライバーによって抑制されていたクロック挙動の改善や、手動オーバークロックによるVRAM設定の変更可能性が指摘されており、今回のアップデートはハードウェア潜在能力を引き出す転換点となる可能性がある。
RTX 5080の性能向上とベンチマーク結果が示す実利的成果

NVIDIAの最新グラフィックスドライバー「576.02」により、GeForce RTX 5080は複数のテスト環境において顕著な性能向上を示した。具体的には、「3DMark Steel Nomad」でのスコアが8832から9215ポイントへと約4.3%向上し、別のケースでは7.5%という大幅な改善が観測された。また、『Marvel Rivals』ではフレームレートが140fps台から150fps超へと推移し、ゲーミング性能にも確かな進展が見られた。
この結果は、単なる不具合修正を超えて、GPUの実用性能にまで波及した点で注目に値する。従来のドライバーが一部の処理能力を制限していた可能性があり、「576.02」がそれを解除したことで、RTX 50シリーズの本来の性能が発揮されたと考えられる。ユーザーによる定量的な報告が複数存在することからも、今回の向上が限定的な事例ではなく、広範な影響を持つものであると判断される。
アイドル時消費電力の最適化と電力効率への波及効果
ドライバー「576.02」によってもたらされた変化は、性能面にとどまらず、アイドル時の電力消費にも及んでいる。RTX 5070では、アイドル時のクロックが従来の180 MHzから22 MHzへと低下し、RTX 5060 Tiでは消費電力がわずか7Wに抑えられた。この改善は、グラフィックスカードの稼働環境全体における熱設計や消費電力量に直接影響を与える要素である。
このような省電力化の動きは、データセンターや長時間稼働を要する業務用端末など、高負荷以外のユースケースにおいても実益をもたらす。NVIDIAがソフトウェアの最適化によりハードウェアの無駄な動作を抑制し、電力効率の向上を図ったとすれば、環境負荷の低減や運用コストの削減といった副次的な利点も期待できる。ただし、この最適化がどの程度他シリーズにも適用されるかは今後の検証が必要である。
ドライバー更新によるRTX 50シリーズの潜在性能の再評価
Redditなどのユーザーフィードバックでは、RTX 5070やRTX 5060 Tiを含むRTX 50シリーズ全体で性能の改善が報告されている。また、一部にはRTX 40シリーズでも3〜4%の向上が見られたとの情報も存在する。これは、ドライバー「576.02」によって従来制限されていたクロック挙動やVRAM設定が解放された結果と見られているが、その多くは手動でのオーバークロックを必要とするため、普遍的な効果とは言い難い。
この背景には、以前のドライバーがハードウェアのポテンシャルを十分に引き出していなかった可能性がある。今後のドライバー更新が、さらなる安定性向上と性能最適化の両立を実現すれば、RTX 50シリーズの市場評価そのものにも影響を与えることとなろう。ただし、今回の改善が一過性の調整に留まるのか、継続的な改善戦略の一環であるのかは、NVIDIAの次なる動向によって明らかになるはずである。
Source:Wccftech