Nvidiaはドライバーバージョン576.02にて、RTX 40・50シリーズを中心に最大10%のパフォーマンス向上をもたらす大規模な最適化を実施した。特にCyberpunk 2077や3DMark Steel Nomadといった高負荷環境で顕著な効果が報告されており、Reddit上では5070 Tiや5080ユーザーからスコア改善の具体的事例が多数寄せられている。
一方で、ラップトップ版GPUでは効果が限定的であり、改善は主にデスクトップ向けであることが明示されている。加えて、バンディング問題やVSync関連のマイクロスタッターなど、多数の安定性不具合にも対応しており、今回の更新は単なる修正の枠を超える価値を持つ。
今後発売される新GPUとの差異が縮まりつつある状況下で、本アップデートがもたらす性能と安定性の改善は既存ユーザーにとって極めて意義深い更新といえる。
RTX 50シリーズ中心に確認された定量的な性能向上

Nvidiaがリリースしたドライバーバージョン576.02において、RTX 50シリーズを中心としたGPUに最大10%の性能改善が報告されている。特に、Cyberpunk 2077の「RT Overdrive」プリセットにおいて、5070 TiでDLSSバランス設定・フレーム生成無効の条件下で80FPSに到達した事例や、「3DMark Steel Nomad」でのスコア上昇が複数確認されている。
たとえば、5070 TiのCurryGorYTはスコアが6467、平均FPSが64.68に達し、Tech619の5080 Vanguardではスコアが8832から9215に上昇した。CellTasticの例では、5070 Tiのスコアが6504から7006へと8%の向上を見せた。
これらの改善はいずれもデスクトップ向けGPUに限定されたものであり、同様の構成を持つラップトップ版のRTX 4060では、明確な変化が認められなかった。
ドライバーの成熟により性能差が縮小している中で、今回のような顕著な向上は異例であり、特に既存ユーザーにとっては製品価値を再評価する契機となりうる。新規購入が難しい現状において、ソフトウェアアップデートがもたらす性能回復は、今後の製品戦略や市場競争にも一定の影響を与える可能性がある。
40シリーズにおける軽微な改善と製品世代間の境界の曖昧化
RTX 4070 Tiなど、40シリーズGPUにおいてもドライバー更新に伴う性能向上が確認されている。Redditユーザー「AerithGainsborough7」は、Steel Nomadで3%、Blackmyth Wukongで4.1%、Cyberpunk 2077で3.6%のスコア改善を投稿しており、50シリーズに比べて向上幅は控えめではあるが、一定の成果が見られた。
特筆すべきは、40シリーズに対する今回の更新が、新たな50シリーズとの差異を縮める方向に作用している点である。ハードウェア自体に大きな改変がなく、同様のアーキテクチャ上に構築されていることから、ドライバー最適化による性能収斂が進んでいると見られる。
世代ごとの明確な性能差が薄れることは、今後の買い替え需要や製品ラインの差別化に課題を投げかける。こうした背景から、性能向上の度合い以上に、「どの世代でも恩恵を受けられる更新である」という点が、Nvidiaの今回の施策におけるもう一つの意義となる。
不具合修正による安定性向上がもたらす長期的価値
今回のドライバーアップデートは性能面にとどまらず、数多くの安定性改善を伴っている。特にRTX 50シリーズでは、ディザリングやバンディングといった表示品質の問題が修正され、DLSSフレーム生成とG-Syncの併用時に発生していた安定性の欠如も改善された。また、VSync強制設定時に見られたマイクロスタッターも解消され、Nvidiaコントロールパネル経由での設定管理に対する信頼性が回復している。
さらに、inZOI、Monster Hunter Wilds、Overwatch 2、The Last of Us Part I、Senua’s Saga: Hellblade IIなどの人気タイトルにおいても個別にバグ修正が適用されており、ユーザー体験の質が広範に向上している点は注目に値する。
こうした包括的な安定性改善は、性能向上とは異なりベンチマークで測定されにくいが、長期的な使用満足度においてはむしろ大きな意味を持つ。特に競合製品との安定性比較が重視される場面では、こうした地道な改良が競争力に直結することになる。
Source:MakeUseOf