AMDの次世代GPU「Radeon RX 9070 GRE」の詳細仕様がVideocardzのリークにより明らかとなった。48基のコンピュートユニット(CUs)、12GBのGDDR6メモリ、192ビットバス構成を採用し、クロックは最大2.79GHzに達するという。性能面ではRX 9070と比べ約15%劣るとされ、上位モデルとの差を埋めるミッドレンジ向けの位置付けになると見られる。
メモリ帯域幅は432GB/sに留まり、VRAM容量の制約から4K環境では性能限界も懸念される。一方で、オーバークロックによる伸び代や、3GHzを超える可能性を秘めたカスタムモデルの存在が注目される。GREブランドは中国市場向けという枠を超える試みも続いており、今回のモデルが地域限定かどうかは今後の発表が焦点となる。
RX 9070 GREの性能的立ち位置と仕様上の制約

AMD RX 9070 GREは、48基のコンピュートユニット(CUs)および3,072基のシェーディングユニットを搭載し、ブーストクロックは最大2.79GHzに設定されている。
これは上位モデルRX 9070のCUsと比較して25%減、前世代RX 7900 GREと比較しても40%の削減となっており、パフォーマンスレンジは明確に下方へ調整された構成である。メモリは192ビットバスに12GBのGDDR6を組み合わせ、メモリ速度は18Gbps、帯域幅は432GB/sに制限される。
これらの仕様は、1440p環境でのプレイにおいて一定の快適さを提供する反面、4K以上の高解像度においてはVRAM不足がボトルネックとなり得る構成といえる。
特に、AI処理やレイトレーシングのようなVRAM依存性の高い用途では、RX 7900 GREやRX 9070との間に顕著な性能差が生じる可能性がある。ただし、オーバークロック対応によりある程度の性能補完は期待できるが、それでもミッドレンジとしての制限は明確である。
RDNA 4ラインアップの空白とGREモデルの戦略的意味
RX 9070 GREの登場は、AMDのRDNA 4アーキテクチャにおける製品階層の空白を部分的に埋める役割を担うものと見られる。現時点でRX 9060 XTには2,048コア、RX 9070には3,584コアというスペック差が示唆されており、その中間帯を担うGPUが存在しなければ、価格と性能の両面で市場の空洞化を招く可能性がある。このギャップを埋めるものとして、RX 9070 GREは製品戦略上、重要な意味を持つ。
ただし、本モデルが中国市場専用となる場合、グローバル市場におけるAMDのポートフォリオの一貫性は損なわれる。過去にRX 7900 GREが例外的に国外流通した事例もあるが、それが定例化される保証はなく、今回も地域限定である可能性が否定できない。
加えて、2024年2月にはGREの語義が「Golden Rabbit Edition」から「Great Radeon Edition」へと変更されており、市場対象の拡大意図は伺えるが、その実施範囲は未確定である。
競合における相対的位置と製品化の課題
RX 9070 GREの位置付けは、NVIDIAのラインアップにおける「Ti」や「Super」シリーズの中間モデルと類似した役割を意識したものと考えられる。RX 9070との性能差が約15%とされる一方、価格帯の調整によってはコストパフォーマンスの高い選択肢として評価される余地がある。これまでのGREシリーズが持つ価格と性能のバランス感は、一定の市場支持を集めてきた実績がある。
ただし、フレームバッファが12GBに留まる点は、今後のゲームタイトルや生成AI用途の拡大において制約となり得る。また、AIBパートナーによる3GHz超のクロック設定がなされる可能性もあるが、それが安定動作を前提とした保証付きの製品設計であるかは不透明である。結果として、RX 9070 GREは性能・価格・市場範囲すべてにおいて慎重なバランス設計が求められる局面に差し掛かっているといえる。
Source:Tom’s Hardware